第4話 納豆巻☆
-----〈 私立綱正学園:3階廊下 〉-----
やばい……やばい……やばい……
真白は駆けながら心の中で“やばい”をなんども唱える。
真白はちゃんと鍵を閉めたが、それを証明するものなんてない。
もし“裁判”になったら……
ドンッ
「痛っ~」
つい考え事をしながら廊下を走っていたので、誰かとぶつかってしまった
これは完全に真白側に非があるだろう。
「ごめんなさいっ」
「私、急いでてそれで……」
「いいの、いいの」
「私も急いでたから……」
真白がぶつかった相手は青い髪のショートカットで可愛らしい少女であった。
その少女もどうやら前方不注意で走っていたらしい。
過失割合はとんとんというところだろう。
「ウサギさん、見つけなきゃ」
青髪の少女は瞳に涙を浮かべてそう呟いた。
「あなたもウサギを探しているの!?」
真白は驚いて少女の方を見る。
少女も驚いて真白を見ている。
双方は暫く見つめあっていたが、真白が沈黙を破った。
「私は真白唯っていいます」
「昨日、ウサギの世話をしていました」
真白は少し申し訳なさそうな声で自己紹介する。
別に悪いことをしたわけではないはずだが、つい申し訳ないと思ってしまうのは日本人だけだろうか?
「私、鈴木葵です……」
「飼育委員に所属しています」
少女はなぜか真白よりも申し訳なさそうに自己紹介した。
どうやら彼女が例の“風で休んだ女の子”らしい。
確かに体の線が細く、いかにも病弱という感じだ。
鈴木が自己紹介を終えると、遠くの方から何やら大声が聞こえてきた。