第3話 事件の匂いの巻☆
-----〈 私立綱正学園:1年1組教室 〉-----
「今日も学校頑張るゾイ!!」
真白が教室で気合を入れていると、高橋先生が青い顔をして近づいてくる。
また何か雑用を頼まれるんだろうか……?
「大変なことになった」
高橋先生は暗い顔をしながら、そう切り出した。
周囲を気にして真白にしか聞こえないくらいの声だ。
先生の声にはいつも真白を叱るときの熱量がない。
「大変なことって何ですか?」
「昨日、ウサギの世話を頼んだだろ?」
「そのウサギが昨夜に逃げ出したんだ」
「ええっ!!」
「どうやら、飼育小屋の鍵が開けっ放しになっていたらしい……」
「そ、そんな!?」
確かに真白は鍵を閉めるのを忘れそうになっていた。
しかし、寸でのところで思い出して鍵をかけた記憶がしっかりとある。
「私、ちゃんと鍵を掛けましたよ!!」
「別に俺は疑ってるわけじゃないんだ」
「ただ、風紀委員会は黙ってないだろう……」
風紀委員会とは学校内の事件を捜査し、起訴立件する組織である。
裁判となれば法廷で被疑者を激しく追及するおっかない組織なのだ。
「わ、私……」
真白の顔から血の気が引いていく。
風紀委員に目を付けられたほとんどの生徒が何かしらの罰を受けることになるからだ。
「逃げたウサギさんを探し出して、無罪を証明します」
「うん、今日は授業を抜けていいから探してこい」
高橋先生は真白の背中をポンと叩いて送り出してくれた。
-----〈 私立綱正学園:3階廊下 〉-----
やばい……やばい……やばい……
真白は駆けながら心の中で“やばい”をなんども唱える。
真白はちゃんと鍵を閉めたが、それを証明するものなんてない。
もし“裁判”になったら……
そう考えると震えが止まらない。