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夢屋の魔女は話上手  作者: もち
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プロローグ

人は寝ている時に夢を見る。


怖い夢。

楽しい夢。

懐かしい夢。

悲しい夢。

嬉しい夢。


夢によっては現実に起こった!

正夢だ!なんて話もよく聞く話だ。


現に今も僕は電車に揺られながらうつらうつらしていて、

さっきまで何か夢を見ていたのをうっすら覚えている。

何か凄く不思議な夢だったような…。

けどもう思い出そうとしても思い出せない。


車内のアナウンスが目的地の名前を告げるのを聞き、僕はペットボトルの水を口に含み完全に目を覚ました。


電車から降りると茹だるような夏の暑さに嫌気がさしながら

改札へと歩いて行った。


この駅は無人改札で駅員どころか駅という建物自体が存在しない駅であり、

狭い改札横に切手を入れるところしかない時代遅れの改札だった。


それにしては

一日に通る電車の回数は多いとは言えないが

一時間に3回は電車が泊まる駅なので

もう少し整備してもいいんじゃあないか?とは勝手に思う。


僕の目的地はそこから少し歩いた場所にある

招き猫博物館という場所だ。

そこの館長とちょっとした知り合いで

「悪いがちょっと店番しててくれや!。

なぁに客なんか来やしね〜よ。あっはっはっは。給料はちゃんと出すからよ。」

てな具合に先日連絡があり、楽してお金貰えるならと了承したわけである。


「しっかし…あっちぃなぁ。」

滴る汗を拭いながら歩く。

ここを曲がれば博物館がすぐそこに見える。


ハズだった…。


「えっ…。」

そこに博物館はなく、古民家風の喫茶店のような建物が建っていた。


おかしいな…道間違えたかな?

そう思い振り返る。


驚愕した。


たった今まで通ってきたハズの道がそこに存在しなかったのだ。

ただ真っ黒な暗闇のみが広がっていた。

先程までの茹だるような暑さも消え体の汗はいつからか冷たい物になっていると気がつく。


「はっ?えっ?。」

思考が停止しパニックになる。

さっきまで歩いていた風景、道、建物はどこに消えたというのか?。


しばらく暗闇を凝視していると、

暗闇の向こうから何かがユラユラと近づいて来るのが見えた。


ゆっくりゆっくり近づいてくるソレは次第に

人の顔?の様に見え、


「なっんっ…」

なんだよアレ!


そう声を出したつもりだった。

しかし声は出ず、それどころか体が全く動かなかった。


その間にもユラユラとソレは近づいてくる。

顔だ。

だが身体がない。

近づいてくるにつれ顔はニヤニヤ笑っているように見える。


アレは!

ヤバい!

本脳的に理解するも体は動かずどうすることもできず顔?を見続けるしかなかった。


パニックになり呼吸もまともに出来なくなってきた時、


「きみ!こっち!」

誰かが僕の手を取り引っ張るのを感じた。

引っ張られると不思議と体が動きそのまま誰かに引かれ歩いた。

あまり思考ができずボーッとしていたが


気がつくと

招き猫博物館があったハズの場所。

"夢屋"と書かれた建物に僕はほぼ引きずられよように入っていった。

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