第5話 暁の女神様は禁止です!!!!!
「お腹いっぱい……部屋に行っていい?」
「そういえばまだ部屋決めてない!」
「あ、たしかにですね」
という流れで部屋決めが始まったのだが、これは案外難航した。
エヴァ(13歳)は運のいいことに一発目で豪奢な天蓋付きのベッドのある可愛い部屋を当て、見てすぐに「気に入った!」と言い出した。
赤髪の女の子__あらためソフィア(14歳)は、レトロモダンな落ち着く部屋にする、と聞かなかった。案外頑固だ。
黒髪のおとなしそうな子__こちらもあらためリリー(12歳)は「どこでもいいですよ?私」というが私は無理やりすべての部屋を開けてまわって、そこを一緒に歩き、リリーの目が輝いた神秘的な海をイメージした感じのきれいな部屋のところに押し込んだ。
目は口ほどに物を言うというやつだ。
「さて私はどうしようかな……」
「ちょっとひどいと思いません⁉この人、自分の部屋も決まってないくせして人を部屋に押し込むんですよ⁉」
「え、だって好きな部屋でしょ?私はどっちにしようか迷ってるだけだよ」
一つは壁紙が寒々しい程の真っ白さで、日本みたいなベッドはあるけどちょっとシンプルすぎて怖い。
もう一つは虎模様の壁紙が貼ってあって、椅子と机とシンプルベッドというなんとも合わない組み合わせの部屋、皆見ても何事もなかったかのようにドアをそろりと閉じてきた部屋だ。
ドアを両方とも開け放して聞いてみることにした。
「どっちがいいと思う?」
「「「こっち!」」」
皆、シンプルの方を指差して即答だった。
「でもこれシンプルすぎて怖くない?」
「いいんです!!みんなで飾り付ければ、いいんだから!!!」
リリーの飾り付けに対する情熱がにじみ出た声を聞いて、エヴァ、ソフィアと私は顔をひきつらせたのだった。
***
そうしてきれいなクリスマスカラー(もうすぐキリスマスだから!というエヴァの提案。似たような人がこの世界にもいたのか、と少し関心を持った)に飾り付けされた白い部屋の飾り付けが終わり、このままみんなここで過ごさない?みたいな話になってきた時、やっとボストンバッグを持った5人目、さっきの監督さんがやってきて、相変わらずぶっきらぼうな態度で「就寝なので自分の部屋へ行ってください。お隣さんに迷惑です」とそれぞれの部屋へ行かせようとしたが、「監督さんってヒョウ柄が好きなんですかー?」というエヴァの声で無愛想な態度が台無しになった。
「なっ……なぜ私の部屋を見た!」
「え、あの悪趣味な部屋って監督さんの趣味だったんだ……」
「みんなで部屋選びするんだからそりゃ全部の部屋見るでしょ」
「たのむ!誰にも言うでない!」
「ふーん?その場でひれ伏して『お願いします女神様』って言ったらいいけど」
「いいぞ!そこの暁の女神様にだったら!」
「わたしによ!」
地味に引いているのはエヴァと私。端で静かに微笑んでいる。挑発してるのは姉御肌だと思っていたソフィア。
ソフィア、Sだったのね……
監督さん、信者だったのね……
って!
「もう暁の女神様は絶対禁止です!!!!!」
そろそろ忙しい時期になるので、かなり空けてしまいます……ご了承ください。