第2話 学園生活の始まり始まり
説明回です。
「イェーイ!転生さいっこー!!」
とこぼしてしまったが、まあいい。自室だし。
部屋の外でそれをちらっと聞いたメイドが怪訝そうに(天性だなんて……お嬢様は天性の才能なんて持っていたかしら?)と思ったのは知る由もなく。
自前のきれいなストレートの銀髪をとかし、青み強めののペリドットのようなきれいな瞳を約10秒ほど見つめたあと、やたらときついコルセットの上にフリルだらけのドレスを着て、朝食を終わらせた後のこと。
私は早速、自邸の裏庭で能力を試してみることにした。
……の、だが。
「エミリア、学校への馬車に遅れてしまいますわ!早く降りて着て頂戴!」
というお母様の声で取り消しになってしまった。私と話してくれるのはお母様だけだ。なぜなら私が女だから。女は戦わないので生きる意味がない、とお父様やお兄様に忌避されているのだ。ゆえに、私には無関心。
「はい!」
さっき言われて思い出したが、そういえば今日は学校へ向かう日。全寮制で、家族に迷惑を掛けることのない貴族の学校へ。わざわざ貴族の学校へ行かせるのは、庶民の学校へ行かせたりしたら目立ってしまうからなのだろうか。
一週間前に用意した荷物をメイドから受け取り、私は出発するべく、玄関へ向かった。豪華な幌馬車が邸宅の前で止まった。
学校へ出発。
私が行く学校は、フェンデルト学園。制服は水色と白を基調とした可愛いワンピース。男子は……知らない。夏と冬でデザインが違うが、その話はまた後で。ここは滅裂者__転生モノで言うところの冒険者__の育成に力を入れている学校で、魔術から剣術、武道までたくさんのことを学べる。でもここから出る貴族は少ない。なぜなら、れっきとした貴族はこんな下級貴族の学校へ行かない。上級貴族は上級貴族専門学校、テンプロン学園へいくのだ。
伯爵令嬢長女なのに……と、思わなくもないが、とりあえず馬車に揺られてのんびりと暇な時間を楽しむことにしますか。
馬車に揺られること、7時間程。
そろそろ暇すぎて潰れちゃうかも……と心配しかけたところで、「到着です」と御者に声をかけられた。
目の前には何年探検をしても飽きなさそうなでっかい、、、建物?が、あった。
「わぁあ……!」
私は、この学校で数年を過ごしてゆく……多分ね。