ボコリのもう一つの趣味
ボコリはホラー映画が大好きで玄関に、そのDVDが登り龍の様な形で積み上げられている。
週末は二人でチョコレートをつまみにしながら梅酒を飲んで、ボコリ劇場が解説入りで始まるのだった。ボコリは部屋の灯りを消して16ビートでスミオに映画の解説を始める。
「この特殊メイクは物凄くリアルですごいのよ! このストーリーは先週見たあの映画のリメイクなの」
「お前よー知ってるなーー、なんか暫くハンバーグとか食べられへんわ」
「スミオ怖がりなん違う。こんなんで怖がってたら、次見るんはもっと怖いで〜」
「お前、俺に永遠にハンバーグ食べさしたく無さそうやな」
「スミオこれは映画なんよ、お子様みたいに想像し過ぎやわ」
「......」
「スミオ、ロックシンガーって皆んな怖がりの人が悪魔祓いの行事としてギグをしたりすんの? 」
「ロックシンガーと悪魔祓いの行事と、映画は全然別物や」
スミオは梅干しの種を噛み潰した様な顔で聞き入ってるのだった。その晩にスミオは映画に出てきた殺人者が目の前に現れる怖い夢を見て飛び起き、ボコリの大切にしているキングギドラの縫いぐるみを凝視してからそろそろとトイレに向かった。