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カビスミ  作者: 緑川 憩
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ボコリの趣味

ボコリの趣味はヴィンテージ 服の収集で、部屋のあちこちに無造作に積み上げられ、絶妙なバランスの小高い山が点在している。本人は好きな服たちの中で、太陽の光を浴びたヒマワリの様に、そよそよと呼吸をしている。

朝からスミオのカビカビした服をいつも洗濯しているのである。

スミオの得意技はアイロン掛けで、プロ並みの腕をしていて、洗濯物を取り入れてはアイロンに勤しんでいる。ボコリの得意技はパンを焼く事である。ボコリは頭をスライドさせて歌いながらパンをこねている。

「一番大切なものは〜 あたしなのよ〜、その次に大切なものは〜 小麦粉なのよ〜 」

出来上がるパンの香りが二人のアロマテラピーとなっている。休日はサンドウィッチをバリッと頬張って食べるのが二人のヘッドスパとなっている。


晴れの日のスミオの書斎はベランダの洗濯機の横にある。バスタオルがオリエンタル調のブラインドとなっている。今日も洗濯機に反響して、サンボマスターが歌っている、「世界を変えさせておくれよ」が流れている。

久しぶりのポカポカ天気の二人の休日、「アラ〜ビンビンビビンバァ〜」スミオは雲の動きを見ながら紙タバコを吸って、いい詩が書けますように、と自分で考えた呪文を唱えている。


ある日ボコリがこれまでに古道具屋などをまわって、集めていたぼろぼろのフォークギターを押入れから引っこ抜いてスミオに差し出し、自分の書いた詩に曲を付けてほしいと言い出した。ボコリのうみうしの様な髪型は、イソギンチャクのフラダンスの様であった。

彼女は童話作家のアシスタントをしている。突然何かが頭に降りてきたかの如く、詩を書き出す時がたまにあり、スミオを驚かせる。ボコリは詩を書いた紙を冷蔵庫にセロテープで貼り付けた。


ボコリの詩


月の光を浴びた灰色のどぶねずみは


海深く眠る深海怪獣のしっぽ


雲の上を優雅に泳ぐ あごの輝くオオカミ魚





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