分からない疲れ
寝息さえ美しい。風に靡いたその金色が周りの造形をより一層引き立てた。ドアを開けて私は彼女に近付き、その寝顔を眺めてこんなことを思った。彼女の生き様というかこれまでの全てが自然体で現れる。それはどの人間にも言えることだ。仮に私が愛する誰かと暮らしたとしてその人に見られるのは全てを切り取った一部分。私のこれまでのパアツが次は彼女の一部分になる。こうして人間がヒトが作られていくはずだ。彼女のパアツが私の心にかまわず呼鈴を鳴らし続けているが心は何故かそれを快く思わなかったみたいで少し意地悪く、半分だけカギを占めた。それでも、最後には呼鈴の音も聞こえなくなってじいいとこころにパアツが浸み込む。彼女の柔らかな生き様が、絶え間ない苦しみが、意味のない焦燥に駆られているのが心の中に反響した。それぞれがフロウライトの綺麗な六角錐の頂点で光る慈しみの様に思えてならなっかた。
彼女を外に出しっ放しにするのは善心からか余り宜しくないと思ったから、ドア開けたままにして彼女を重しににして、外の風を家に迎えるふうにした。祭りの騒がしい空気感に最初はお化けの道化を覚えたがすぐに止んだ。あやかしの類も霊の怨念も紅茶の晴れやかな薫りに呆けたようで、私の座っていた椅子にぎゅうぎゅうぎゅうぎゅうに詰まっていた。