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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第1話「正義を成す悪」
9/63

#007 闇ブローカー

さてと。

そろそろ、わたしも重い腰を上げるとしますか。


私用のスライド式携帯電話を胸ポケットに仕舞い、

度の入っていない伊達メガネを掛けたわたしはまず表に鍵をかけた。

次に防犯セキュリティーをオンにして外出した。


行先は既に決まっている。

往きつけの酒場『Artemis』。

真っ昼間から酒を飲もう、なんて気はさらさらない。

目的は情報収集だ。それも裏事情専門の情報を扱っている。

業界では有名な『闇ブローカー』が出しているバーである。


本来『ブローカー』とは、

有価証券などの取引において売り手と買い手の間に立ち、

売買の成立を支援する仲立人のことを指す。


わたしも仲介人を介して、あの事務所を貰った様なもの。

アイツはなんでも知っている。

・・・・・・、なんて言うのは冗談だ。


わたしは一度として、アイツの驚いた顔を見たことがない。

故にちょっかいを出しても意味がない。

出したら出したで、どんな顔をするのかという興味はあるが、だ。

正直に言って怖い、というのが本音だ。

アイツ・・・彼自身は多少のちょっかい、なんて気にも留めないだろうが。


徒歩10分。

人間の徒歩による所要時間は、

道路距離80メートルにつき1分間を要するとされている。

10分というと計算上は800メートルだが、

歩く速さは人間によって違ってくる。

実際にわたしが歩いた距離は2キロ近い。


店の前へ到着したわたしは、

『開店準備中』と書かれた札版を無視して堂々と入った。

カランカラン、とドアベルが鳴る。

それに気付いた従業員がわたしの前へ立ちはだかった。


「申し訳ありません。まだ開店の時間では・・・」

黒い髪を後頭部で束ねた化粧気はないが、

大人びた雰囲気を持つ女性だった。

顔立ちはともかく、

わたしが目を引いたのは彼女の『着衣物《服装》』だった。


格式のあるないに関わらずバーでの女性従業員の服装というのは、

ウイングカラーのピンタックシャツに、黒地のベストやロングエプロン。

スカートではなくパンツが好ましい。

あくまで、わたし個人の勝手な解釈だが。

しかし、どうなのであろう。今日は別段と『浴衣』を着るような、

変わった大きなイベントはなかった筈だが。


彼女の浴衣に目が留まっていたわたしが気になったのか、

「あの―――、そんなに変わってますか」


顔をぐいっ、と近づけてきた彼女に目を背け、

「あ・・・いえ、少しだけ」

「私、正直な人は好きですよ。古賀さん」


微笑んで答えた彼女はわたしのことを知っていた。

馴染みの客だからと言うのもあるが、

アイツ・・・のひとり娘だから、と言った方が正しいだろう。


「こ――が――、

「貴様まさかと思うがウチの娘に手を出してるとか言うなよ」

わたしの後ろから両手の指関節をパキパキ、と。

鳴らしながら親バカのセリフを吐きながら、

重いプレッシャーを纏って現れたのは―――。


裏では裏事情を知る仲介人『闇ブローカー』を名乗り、

表ではバー『Artemis』のマスターを担いながら、ひとり娘の父親でもある。

スキンヘッドに青黒い無精ヒゲ、白い肌に青い瞳。

ガタイのいい外国のプロレスラーのような体つきに剛腕、

わたしよりも高い身長で脅してきたのは、

漆原うるしばら 玄武げんぶその人だった。


 「投稿の気持ち」

 ようやく、第1話半分くらいですかね。

 次回、投稿は平常通り

 平日投稿に戻ります。

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