#006 無意識と本能
『それで・・・仕事というのは』
「ある人物の護衛と追跡を頼みたい。
「報酬は護衛に1万円、追跡に1万円だ」
『対象人物は?』
事務所に一基だけ設置されている。
防犯カメラの映像をトラの携帯電話へ送り、
「いま送った。神崎忍、24歳女性」
『了解した。前からオマエに訊きたかったことがある』
「なんだ」
『オマエはただの悪党じゃない。オマエは怪物か・・・、古賀明彦』
こういう人間は嫌いじゃあない。しかし、警戒は必要だ。
いつ何時、わたしの正体が見破られないとも言い切れないのだから。
わたしは鼻で笑って答える。
「滑稽だな。
「まさか、キミからそんな言葉を聞く日が来るとは思わなかった。
『喰えん、男だな。仕事の件は任せろ。
『どうせ、仕込みは終わっているんだろう。
口を歪ませて笑みを浮かべながら、電話を切った。
・・・・・・、喰えない男か。どっちが喰えない男だ。
人間の心理とは全く持って奥が深い。
こころは意識ではなく無意識だ。
わたしはそれを利用しただけに過ぎない。
例えばの話をしようか。
人間には一定のリズムまたはテンポがある。
それら(リズム)は各々個人によって違ってくるものだが、
全世界の人類あるいは
動物は『無意識的な行動』と『本能的な行動』を取ることがある。
ジークムント・フロイトは人間の意識は、
『意識』『前意識』『無意識』の三層からなっていると考えた。
意識は、自分自身の意志で考えたり行動したりする。
前意識とは、単に忘れてしまっている部分で、簡単に意識化できる。
一方の『無意識』は、
日常での言い間違いや聞き間違いなどの失錯行為つまりは。
自分の欲求や希望の妨害と無意識的に抑圧してしまうことによる、
妥協の産物と考えたらしい。
本能的な行動とは学習や思考によらず、
外部の刺激に対して引き起こされる行動(反射)が、
複雑に組み合わさったもの。
動物の行動の多くは試行錯誤によって変化するもの。
本能行動と見なされるものでも学習や試行錯誤の影響を受けていないか、
区別するのは難しい場合が多いとされている。
今回に関しては『無意識的な行動』と『本能的な行動』両方だろうか。
照れ隠し・・・お茶を飲むという行動によって、
わたしの仕込みは既に達成されている。
仕込んだのは、特殊加工されたオリジナルのナノマシンだ。
人体には無害で従来のナノマシン構造を一から見直し、
改良に改良が施されたもの。
目的はひとつ『探知』である。
怪しまれず、違和感なく、
確実に探知することが出来る便利なアイテムは他にない。
新人という奴は、どいつもコイツも気張るからな。
「仕込んでおいて正解だったな」
わたしは自分のケイタイ画面を見ながら一人呟いた。
画面には赤い矢印アイコンが、
この付近で最も危険地帯とされている
エリアへ侵入していた。
「投稿の気持ち」
連続投稿如何でしたでしょうか。
次回は探偵さんの闇の部分を少しずつ、描いていく予定です。
感想コメ・ポイント評価の方、宜しければどうぞ。