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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第3話「ホロウ・ゴースト」
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#008 心理捜査

怨みを買いたい、とは一度たりとも思ったことはないし本音でもない。

遺体現場(ここ)で吸収できるモノはもうなにもないと踏んだことからの一言を

周囲の刑事は別の意味で受け取っていた。


「―――ッ、ふざけんな!!」

罵声が赤刃に降りかかるが、

聞く耳なしと言わんばかりに掌を振って去っていった。

白を切るように去る行動を見た青年風の刑事は、赤刃の肩を掴んだ。


「オイ、おれはまだ手前を認めてねぇ。

「巌城さんの隣に居座るのは、このおれと・・・認めたくはないが

「古賀だけだ。

古賀、という名前にピクリと反応する。

冷たい血液がグツグツと煮え始め、頭部に脈が浮く。


まさか、ここでその名前を聞くことになるとは思いもよらなかった。

反射的に体が僅かに動いたが、

恐らくこの刑事は気付いていないだろう、

と考えた赤刃はゆっくりと振り向いた。

「その古賀っていうのは、何者だ」


勿論、古賀という人物についての情報は頭の中にある。

ここで聞き出したい情報は、この刑事の視点からみた探偵古賀明彦だ。

「・・・いけ好かない探偵だよ。

「認める訳じゃないが、頭の回転はおれや巌城さんよりも上。

「『詐欺事件』にしろ、今回の『麻薬騒動』にしろ、

「巌城さん曰く、あの探偵の性で始末書が大変だって言ってたし。

「『麻薬騒動』といやー、まだ見つかってないんだよな。

「犯人の証拠は山ほど見つかったのに、肝心な犯人が行方不明だもんな。


この刑事についても下調べは既に済んでいる。

赤刃とは少し立場が異なる。

ノンキャリアと呼ばれる警察官のひとり。

高校卒業後、警察学校へ進学。首席で「巡査」として4年交番勤務を終え、

「巡査部長」へ昇進して直ぐ、警視庁捜査一課 巌城班に抜擢された。

頭脳よりは足といった体力系の刑事、

――― 叢雲(むらくも) (ひとし) 。昔の日本人みたいな名前だ。


「―――っで、どう思うよ。今回の『連続暴行事件』。

さて、連続事件として考えていいものか。

闇討ちのように夕暮れ時から深夜・朝方という時間帯を狙っての強襲だが、

前回までと今回では明らかに遣り口が違う。

大きな変化があるとすれば、今回に限っては死体が出たということ。

最初の被害者を知る訳ではないが、

報道やネット上で取り上げられている記事を読む限りでは無傷に近いもの。

エスカレートしているどころか、別の人間の犯行または

何かを託され遺志を継いだ異常犯罪者と考えるのがどおりだ。


それにしても、一応階級的にはコイツよりも上の筈が・・・。

タメ愚痴とはいい度胸だな、と言いたい処ではあるが

有意義な情報を貰った以上は我慢だと自分の中で割り切ることにした赤刃は

その質問に礼儀として答えることにした。

「まだ、連続暴行と決まった訳じゃないさ」


反論するに違いないと思ったのだが、

叢雲は赤刃の予想を軽く裏切る答えを反した。

「そうか、オマエもそう思うのか。

「この事件の出発点、

「つまり犯行動機・・・あの自殺に関わってくると思うか?

「もし、そうだとしたら・・・今回の事件の犯人って―――


憶測ながら叢雲が犯人について語ろうとする前に言葉で話しを割った。

「言うな、刑事が憶測でものをいうものではない」


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