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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第3話「ホロウ・ゴースト」
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#003 教師の悩み

お客であることは間違いないが、この男性からは

―――覇気が全くと言っていいほどに感じられなかった。


そもそも、依頼人が持ってくる頼み事には到達点が存在する。

かつての神崎の時は、

弟が麻薬に手を出してしまったことからの後ろめたさと

蔓延を食い止めるという大きな目的があった。

河島順子の時もそうだったように、

目的に到達するための手助けでここにやって来た。

それがこの男性からは感じ取れないということが意味するのは、

―――到達点が霞んでいるか、あるいは。

―――あるいは到達点がないかのどちらかだ。


まあ、ここで考えていても(らち)が明かない。

依頼内容を聞けば、

このシコリがなんなのか分かるだろう、

という結論に辿り着いたわたしは質問した。

「それで、ご依頼はなんでしょうか?」


・・・・・・、無言。

無視(シカト)している訳でもなさそうだし、

耳に補聴器が付いていないことから聴覚障害者でもない。

まだ迷っている、と考えた方がいいのが。

わたしとしては、()らされている気分で早く話してもらいたいところだが。


「すみません、(わたくし)こういう者です」

男性がわたしに差し出したのは、一枚の名刺だった。


明誠中学校 技術専門教諭。

部活動「サイバー部」顧問。

木更津 智也。

携帯電話番号 「080-****-####」


明誠中学か、

訊いたことはないが名前からして夏希の通う大学の系列だろう。

技術専門の教師はいまでは珍しくない。

情報社会の日常でより多く期待されているのが、『技術専門』。

それも『サイバー部』とまでくれば

ネット関係の技術が専門ということになる。

いまの職場で最も安定した収入を稼げる上に、

どこでも重宝されるひとつの資格と言ってもいいほど。


そういう人間の悩みとなると、一番多いストレス要因からいえば

―――それは『多忙』だ。

これはわたしの推測にすぎないが教師という職業は、

恐らく最も精神的(メンタル)にも肉体・身体的(フィジカル)にも堪えるのだろう。

子供たちが大きく成長する時期に教えを説く、

無邪気・無垢な赤子ではなく。

しっかりとした知恵や道徳が築かれる前の子供ほど

恐ろしいものはない。

それに加えて、

他の教員や保護者たちと築いた人間関係まで、気を配らなくてはならない。


「・・・・・・、わた、私の依頼は間違っているかも知れません。

「それでも、私は真実を突き止めなくてはならない。

「ひとりの人間、いや教師として追わなくてはならないが

「私には無理だったんです。

いきなり饒舌に話しを進める木更津だったが、

わたしには話しの内容と言うよりは軸が分からなかった。


「私に彼等を止めることは出来なかった。

「お願いです。虫のいい話だというのは重々承知しています。

「どうか私の代わりに『アグレス・クラブ』を見つけてください。


 「投稿の気持ち」

 それでは解答です。

 ヨコの問題13の答えは、<くろ>。

 ヨコの問題14の答えは、<あいち>県。

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