#002 クロスワード
イジメ問題は、今に始まったことではない。
一般的な意味においてイジメとは、
肉体的、精神的、立場的に自分より弱いものを
暴力や差別、嫌がらせなどによって一方的に苦しめることをいう。
いまから35年前、西暦で
1985年ぐらいから陰湿化した校内暴力が多く見受けられたらしい。
問題児による単純な暴力だけではなかった。
他人の物を隠す、
亡くなったかのように見せるために机に花を置いて
心に対するイジメから無視による仲間はずれにすることなどは、
水面下で行われるためもあって教師や周囲の人間が気づかないうちに、
―――深刻な事態に発展を遂げているケースは少なくないのが現状だ。
近年、『平成年』と呼ばれる2000年以降は生徒だけではなく
子供たちに教えを説く教師や家族までもがモンスターとなって、
―――生徒、子供をいじめる側に回っている。
また、子供に限らず社会人においても同様のことが起きている。
暴力そのものや職場の権力を利用した、
―――パワーハラスメントという嫌がらせや、
性的嫌がらせ、
―――セクシャルハラスメントといった職場イジメ。
インターネットが普及した現代社会では、
ネット上のユーザによるネットイジメも深刻な社会現象として
今も尚、止まることなく大きな影となっている。
古賀は悩んでいた。
ここ数日どころか、2週間以上も依頼が全く来ないことに。
原因は既に分かっている。
ドタバタ、と歩き回った『スマートフォン探し』の結果は考えるまでもなく
―――報酬ゼロ・・・だけなら未だしも、
梟谷の婆さんの信頼を大きく捻じ曲げてしまったからだ。
分かりやすく結論を述べれば、
―――タダ働きと信頼ダウン。これは仕事が来ないのも無理はないが
問題はここからだ。
仲介業者がダメなら大元に頼むのがスジってもんだ、と考えたが甘かった。
『―――はあ?
『仕事がホイホイ見つかる訳ないだろ。暇ならウチでバーテンでもやるか。
という乗りで話しを振られたが似合う訳もない上にガラじゃない。
当然、断りを入れたのだがその代わりになぜか神崎が働く始末。
行き場所を失った古賀は、
ひとり事務所のソファーに転がってクロスワードを解いていた。
タテの道13、
―――山芋が皮膚についた時の原因となるのは○○○酸○○○○○。
タテの道14、
―――森林浴効果の最大の理由は○○○○○○○という成分にある。
タテの問題13番目の答えは「シュウ酸カルシウム」。
タテの問題14番目の答えは「フィトンチッド」。
ヨコの道13、
―――碁石のサイズはどちらが大きい?○○
ヨコの道14、
―――日本で最も寺が多いのは○○○県である。
・・・・・・、簡単すぎて笑えるけど。
つまんねぇ~、とボヤいていると
入り口から気弱そうな男性が事務所に入って来た。
「あの~、こちら探偵事務所で合ってますでしょうか?」
古賀は入ってきた男性がお客であることを認識したのか、
眠気を瞬時に消し飛ばし立ち上がった。
解き終わったクロスワードパズルの本を
ゴミ箱に入れて、男性の質問に答えた。
「はい。探偵事務所Silver Crossへ、ようこそ」
「投稿の気持ち」
読者の方へのクイズです。
ヨコの道13・14お判りでしょうか?
解答は次回のあとがきにて紹介とさせて戴きます。




