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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第2話「プライマリー・アシスト」
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#019 真意

そう言ってくるとは思っていたが、

ディーラーから直々の発言となるとわたしが

いま抱えている案件は相当なのだろう。


まあ、確かに元とはいえ金融庁それも検査局の人間宅に身元不明の遺体。

簡単に考えれば、その検査局の大嶽和馬が犯人と見るのが妥当と言える。

警察沙汰になった際、困るのは

―――容疑者として矛先が向くだろう大嶽、

―――矛先に飛び火して金融庁も調査対象となるのは目に見えている。

―――そして、恐らく連動するようにココも繋がりがあると見ていい。


わたしがあの場所にいたことを知り、

なおかつ特定の区域(エリア)へのジャミングから推測して遺体が発見されるのは

織り込み済みである可能性は非常に高いと考えるのが自然。

なら、わたしの口から例え間違いであっても

問題はないだろうと踏まえて発言する。

「・・・案件、あの遺体のことですか?」

「ほう、―――正解と言いたい処だが不正解だ。


この物言いから判断して、半分・・・いや6,7割程度は正解。

わたしの回答が不十分だというところか。

『遺体』というキーワードの他に足らないものがあるとするなら、

―――今回の事件の発端つまりは

わたしが不在の時に尋ねてきた河島順子か。

―――依頼内容とされるスマートフォンの中身、

例えばSDカードの部類とか。


「君も気付いているのだろう。

「売れなかったリトルビック社製のスマートフォンの中身、

「彼女・・・河島順子がSDカードに保存していた当社に対する不正の情報。

「あれを世間にいまリークされるのは、

「当社にとって大きな損失となるのは明白。

「・・・それはつまりSDカードを渡した上で速やかに手を引けと?」

「理解能力が早いというのは、呑み込みも早いということ。

「私の方としては助かるよ、それでどうだろうか。

「はっきりと、おっしゃってはどうですか」


真意を確かめる為に、

「本当に欲しいのは携帯端末の方だと」


SDカードが欲しいというのは本当だろうが、本心から欲しいものは違う。

高峯の言う通り、現時点でココの会社に不正疑惑が浮かべば間違いなく

安定した株価は下落し、国の信頼関係は崩れることはなくとも揺れる。

そうなれば、委託されるはずの監視カメラ『エキスパート』の管理は、

他企業または国自体が運営していく他ない。

ただし、本当に不正の情報が保存されていればの話だが。

そう考えるなら、答えは絞られる。

―――携帯端末の中身という点から挙げられるのは、

基盤に構築されているプログラム『GPS不滅システム』が真の狙い。


「なるほど、やはり知っていましたか。

「それならここからは、腹を割って話が出来そうですね。


・・・ここからは、か。

出し惜しみがあるということ、となると高峯の手札には恐らく切札(ジョーカー)がある。

これは神崎に対してではない。

わたし自身の中で動くモヤモヤ感、

―――今回の事件をスッキリと解決するには、

限りなく多くの情報を入手する必要がある。

その為にはこれから始まるトーク戦、

―――手札(カード)の切り具合と心理戦がすべてを決める。


これを置き換えるならば、かつてフリードリヒ・ニーチェが言い放った。

「真実の追求は、

「誰かが以前に信じていた全ての

「“真実”の疑いから始まる。

心理戦に重要なのは、

ニーチェが語ったように真実、つまりは高峯の言動を疑うこと。

それに越したことはないだろう。


これから戦う相手は、一般人ではない。

ディーラーを相手にする以上、警戒することは必須。

―――故に彼が放つ言葉にも疑惑を持たなければならない。


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