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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第2話「プライマリー・アシスト」
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#018 コントロール

わたしも飲み干さず、一口だけにしてカップの中に半分ほど残して

ソーサーと呼ばれる陶器の受け皿の上に置く。


「そろそろ、話して頂けないでしょうか高峯さん。

「いえ、ここ『ビショップ街』のディーラーさん。


このまま話しを渋らせるというのは、何か狙いがあるのかと思うところ。

だが、そういったわたしの心境を作ることまでが彼の言う『罠』なのか

実際のところは分からず仕舞いのままだ。


高峯はいまどきまだ存在していたのか疑う

金色の懐中時計を開けて時間を確認すると、

顔には出ていないが唇が微かに歪んだ。

「そうですね。

「時間も時間ですし、お話し致しましょう。


パチン、と右手の親指と中指を擦らせて高い摩擦音が鳴った。

その音を聞いた他の職員、

紅茶喫茶店内で食事していたお客は

同時に立ち上がって出口に向かっていた。

まるで心の無い人形またはロボットの行進に見えた。


「人間を完全に理解した上で、

「 支配(コントロール) することは元来から不可能とされてきた。

「しかしながら、私はそうは思わない。

「現時点でのテクノロジーは、

「進化という過程を止まることなく漂流している。

「何が言いたい?」

随分と遠い前置きから始まったことにイラついたというのもあるが、

高峯が言いたいことがなんなのかわたしには分からなかった。


「裏社会に様々なパイプを持つ者なら、耳に入ったこともあるのでは。

「公安調査庁と防衛省が開発した監視カメラ『エキスパート』。

「既に実証試験(テスト)を終え、4月から正式に運用することが決まっている。


監視カメラ『エキスパート』、

―――通常の監視カメラとは異なり

映像の伝送・処理および表示機能を含む監視ではなく、

人間一人一人の顔の表情や行動、

言動からシステムがスキャニングし色を付けていく。

その色、正式名称は『治安識別色(カラー)」と呼ばれる。


主に近年、犯罪の実行者が若年層に広がっていること。

テロ事件を未然に防ぐ為というのもあるが、

7月から始まるオリンピックに備えた

一種の防衛策として一般への公表はしない、と何度か聞いた覚えはある。


「そのカメラを管理するのが、当社『アンダーグラウンド』と言っても

「国家機密の案件ゆえにプロジェクトを知る人間は限られてくるがね。


流石は国に安心と信頼を獲得している企業だと言いたい処だが、

一民間企業に国家機密を託すと、

同時に人間個人のプライバシー侵害が問われる

このシステムを扱う人間性から何らかの企みを感じるが・・・。


「つまり、要は遣い様だということ。

「テクノロジーも人間も、

「使い手の腕次第でコントロールすることは可能ということです。

「―――さて、ここからが本題です。

「貴方がいま関わっている事例・案件から手を引いて貰いたいのですよ。


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