#017 紅茶の味
「―――では、わたしはホットでダージリンを。
「エッグ・ベーコンサンドイッチをひとつ、お願いします。
わたしの注文に慣れた対応で受け答えした。
「―――はい。ホットのダージリンをおひとつ、
「エッグ・ベーコンをおひとつですね。
「少々、お待ち下さい。
ぺこり、とお辞儀して厨房の方へオーダーを入れる。
ダージリン・ティーは、
セイロンのウバや中国のキーマンと並び世界の三大紅茶と称される。
紅茶の中でも香りを楽しむため、ストレートティーで飲まれる方が多い。
寒暖の差の激しい標高の高い山地で、
生産されているため、ダージリンは強い香りを持つ。
紅茶は一般に茶葉を完全に酸化発酵させたものであるが、
ダージリン地方の春摘み茶、
ファーストフラッシュには軽い発酵で、
緑茶に近いものも少なくないとされていると聞いたことがあるため
わたしはこの紅茶を選んだ。
エッグ・ベーコンサンドイッチを選んだ理由は、
ただ単にわたしのお腹の虫が騒いでいるからに他ならない。
紅茶を飲むことで
―――ビタミン・ミネラルの栄養補給、
茶葉には新陳代謝を整え、体の成長をサポートする。
―――インフルエンザの感染阻止、
紅茶の中に含まれるテアフラビンの働きによるもので、
A型、B型などウイルスの種類に関係なく有効に作用し、
即効性があるとされている。
―――疲労回復とストレスの解消、
カフェインの働きには疲労回復やストレスの解消、
中枢神経の興奮、覚醒作用、強心作用、運動敏捷性などがある。
―――消化促進、
カフェインは胃酸の働きを活発にし、
消化不良の時は効果が大きいなど様々な効能を得られる。
また常時、数字との追いかけっこを繰り返す社員にとって
窮屈さや焦りを感じる、コンクリートではなく。
温かみを帯びた、
お店の空間そのものを木材に変えることで心を落ち着かせる。
このお店自体がゆっくりと時間が過ぎていくような気持ちにもなる。
この会社のCEOは社員への
ライフケアや気遣いの配慮など、いい趣味をお持ちのようだ。
「―――お待たせしました。ご注文のアイスのキャンディです。
最初に運ばれてきたのは、高峯の注文した輝きのある紅色の冷製紅茶。
「お待たせしました。こちら、ホットのダージリンになります。
「それから、こちらはそちらの子猫ちゃんにエッグ・ベーコンと
「シェフからミルクになります。ごゆっくりどうぞ。
わたしの前に置かれた透明度の高い琥珀色でストレート。
流石は世界最高と称されるだけはある。
特徴的な香気マスカットフレーバーがわたしの鼻を刺激する。
紅茶の香味だけで満足できる一杯と言えるが、
横に置かれるはずだったエッグ・ベーコンをわたしの頭上に乗かっていた
黒猫・・・月虹に取られるとは、日頃の行いの性だろうか。
わたしの頭上から降りた月虹に向けていた視線を高峯に切り替えると、
高峯は紅茶を口にしていた。
飲み干さず、一口だけ含んだ後、コルク製のコースターの上に置く。
置くことを確認したかった訳ではないが、紅茶の香りに負けたのだろう。
わたしは静かにダージリン・ティーを啜った。
香りを重視される紅茶とされているだけはあるが、
この味はわたしの知る緑茶とよく似ている
わたしにとっては、好ましい刺激的な渋味を舌で感じ取った。
「投稿の気持ち」
この暑い夏に冷たい紅茶で一息、いれて見てはどうでしょうか。
8月13日ぐらいまで、不定期な更新が続きますが
次回も読んで戴ければ幸いです。




