表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第2話「プライマリー・アシスト」
38/63

#016 階級社会


緩やかな階段を高峯の後に続いて歩いていく。

程なくして階段を上り終えようとする前、

わたしは下方を半ば振り向いて見ると、まだ運転手がお辞儀していた。

これが階級社会に住まう世界の人間の()()りかと思うと、ゾッとする。

こちらから見れば、上から見下ろす優越感ゆうえつかんは素晴らしいものだろうが、

下にいる者は皆、何を思って生きているのだろう。


上に這い上がっていく挑戦者、劣等感を抱き続ける愚者か。

それともただ時間と共に朽ちていく機械か。

どちらにせよ、わたしはこの町がキライだ。


毎日のように、戦争を繰り広げるなど―――よく飽きないものだ。

自らの人生をすべて『(かね)』稼ぎの為に棒に振る、

その意図は一生掛かってもわたしには理解できないし、

理解したいとも思わぬが。

それでも、ここに生きる者達は皆、『金』に執着し終わることのない

グローバル・マーケティングというゲームを楽しんでいるのだろう。



2つの自動扉を抜けると、大きなホールに出た。

天井や壁、

床までびっしりと数字の羅列が並ぶ―――様々な銘柄の『株価指数』と、

巨大な液晶画面に映し出された―――『株価指数リアルタイムグラフ』が

行き交う人間の努力と行動によって分単位で変動している。


わたしの知る限り大手企業である『アンダーグラウンド』は、

大瓦(だいがわら) 桔平(きっぺい) を代表執行役CEOとする

オンラインゲームソフトや

次世代スーパーコンピューターの開発事業を手掛ける

世界で5本の指に入るほど。

最高クラスのテクノロジー企業と言えるだろう。


朝のテレビニュースから得た情報では、株価は大きな下落もなく上々

ここ2カ月は安定した水準を維持している。

また、日本というひとつの国の経済面を支える企業とも言われ

―――期待と人気を獲得している。


まあ、それはさて置き。

わたしは高峯の後を追い、『紅茶喫茶』と書かれた店舗に入っていった。

店内には女性の社員が多いと思っていたが、

逆に男性客が過半数を占めていた。


紅茶喫茶から連想されるのは、

―――ヨーロッパのイギリス、

世界で最も紅茶を飲むのはイギリス人で、朝昼晩の食事だけでなく、

起床時の午前午後の休憩にもお茶を楽しむことで知られている。

―――またはケーキやクッキーといった洋菓子だろうか、

しかし実際には、

こってりクリームのケーキよりもパウンドケーキの方が合う。

バナナを練りこんで焼いたバナナケーキやドライフルーツのケーキも

ひと口食べて紅茶を飲むと

フルーツの豊かな味わいを同時に楽しむことが出来る。


・・・と、まあここまで言っておいてなんだが、

わたし個人としてはあまり甘いものが好きではない。

故にわたしの朝は、苦みが掛かったコーヒーから始まり

昼食など一息入れる時、

大抵はミネラルウオーターまたは緑茶を(たしな)む。


今回に関しては致し方ない。

依頼人でも知人でもないが、

年齢的には上の人間を前にしては相手に合せる他ない。

高峯はメニューを見ず、

テーブルの上に置かれている呼び鈴で店員に合図を送る。

「いつものキャンディを頼もうか。


キャンディ、

スリランカのセイロン島中央部で栽培されている。

水色は輝きのある紅色で冷めても濁りを生じにくいので、

アイスティーに最適。

香りは控えめで、渋みが少なく、軽く柔らかだがコクのある味を醸し出す。


「―――どうぞ、貴方もご自由に好きなものをオーダーください。

「心配は無用です。

「ここの店は社長の趣味でしてね、支払いは結構ですので。

「それは、どうも」


社長つまりはCEOの趣味と来たか。

通りでメニュー欄に値段がついていない訳だ。

繁華街の江戸前寿司や怪しい雰囲気の中華店でよく見かける

値段の掛かれていないメニューと言うのは、

ぼったくり・・・詐欺か時価価格を表す場合がほとんど。

無料(タダ)というのはわたしにとって有難いものではあるが、

飲むにしても食べるにしても

苦手なものを勧まれたところで、あまりうれしいものではない。


相手の顔色を窺う訳ではないが、

仕方なくメニュー欄の一番上に目を向ける。


 「投稿の気持ち」

 長らくお待たせしましたが、お盆休みまで如何やら残業がハードそうです。

 暫く、不定期な投稿が続きますがよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ