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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第2話「プライマリー・アシスト」
35/63

#013 用意周到

集団心理とは、

集団が合理的に是非を判断しないまま、特定の時流に流される事を指す。

個が確立されていない社会や

精神的に未成熟な子どもにはこの傾向が強いとされる。

過剰な集団心理はいじめや差別を

手助けする要素のひとつとして問題視されている。


つまりこの状況に、

未成熟とは言えぬものの高校生程の年齢層を集めたということは

それなりに『心理』を学んでいる人間がわたしに仕向けたことになる。

補足を加えるなら、

一般人なら未だしも高校生や中学生という未成年者に手は挙げられない。

抵抗なく少数人を捉えるにはもってこいだろう。


「コイツだね。

「うん。

「間違いないよ。

「あの人に言われた通り・・・。

「黒スーツに赤いネクタイ、

「メガネ・・・あれって伊達じゃん。

「クスクスクス・・・。


男子だけでなく女子も集団の中にいるとなると、

こちらは本当に手出しできない。

・・・でも、

やはり子供だな。

あの人達ではなく、あの人。

複数人から頼まれたわけではないということ。

この集団のほぼ全員が身に着けている十字架のアクセサリーは、

隣町を侵食しつつある宗教団体『トワイライト』の装飾品だったはず。


トワイライトとは、

日の出前や日没後の薄明かりの光景をさす。

宗教団体については、あまり聞かない・・・ということは

裏社会にそれほど大きなパイプを持ち合わせていないということだが。


この状況から推測するに大嶽を守っているということ。

それは同時に元とはいえ金融庁の人間を庇う理由・・・。

金融だけに恐らくは金絡みだろうが、

リビングにうつ伏せになった遺体の身元が分からないことには、

・・・そういえば連絡がないな、とケイタイ画面を見る―――『圏外』。


この平地の居住区で『圏外』になることはまずない。

そう考えると携帯電話ジャマー、

―――通信機能抑止装置と言われる電波を遮断しジャミングを掛ける機器。

それを使えば無線通信を通信妨害するための

特に携帯電話やPHSの通信をジャミングするための無線設備を指す。


集団心理にジャミングとなると、

この一帯の防犯カメラの映像も切られている可能性が高い。

ここまで用意周到だと彼等に指示を出してきた人物は、

計画性があり慎重な行動が予測されるが、中には大胆な奴もいるようだ。

 

少年少女の集団の中からその人物は、黒い日傘を差して現れた。

日傘を少し上方に角度を5°ほど傾けると、年配の顔つきが見えた。


「漸く、会えましたね。古賀明彦さん。

「この暑い中、立ち話もなんですし―――。

「どうです? 車内では―――。

「もちろん、危害を加えることはしませんのでご安心ください。


執事服を着た年配の男は、

あちらへ、と誘導させられた。

集団を抜けて誘導された先に、待っていたのは一台の長い車―――リムジン。

既に運転手と思わしき人物が、

陽が照り付ける猛暑の中ただした姿勢で立っていた。

わたし達が来るのを見計らって、ドアを開けた。

「・・・どうぞ、お入りください」


『罠』の可能性も視野に入れ、

わたしは執事服の男の後をついて車内に乗り込んだ。


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