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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第2話「プライマリー・アシスト」
34/63

#012 検視


一方、古賀明彦は困惑した顔で紅茶を静かに(すす)っていた。

対面という形で目の前には執事服を着た年配の男性が、

わたしの様子を窺っていた。


こうなるほんの数時間前、

元金融庁の検査局員、

大嶽(おおたけ) 和馬(かずま) の自宅前である事実を

わたしはトビから聞かされていた。

リビングルームに倒れた人間、

それも人物検索ツール『アルゴ』でも引っ掛からない身元不明の遺体。


トビから送られてきた画像からだけでは何とも言えないが、

うつ伏せの遺体から判断できるのは、

性別と身体つきは、中肉中背の男性。

眼球に溢血点があるかは不明。

鈍器で殴打されたような外傷・打撲痕は見当たらない。

腹部の外傷は目視できないが、床に夥しい赤い液体が広がっているため

直接的な死因は、腹部を鋭利な刃物で刺された失血死。


人間の循環血液量は体重の1/13。

この遺体から考えれば、約80キロの体重から13で割って=約6。

その1/2 ~ 1/3が失われると失血死すると言われている。

さきほどの計算した6を2または3で割って

=2 ~ 3リットルの血液が身体から失われると人間は死ぬ。

またそれ以外でも臓器の虚血や低酸素症、

急激な出血によるショックにより、

計算上での『2 ~ 3リットル』以下でも死に至ることはある。


それにしても何とも奇妙な遺体だ。

自宅でもないのに全裸で殺害されるとは。


わたしは首を傾げて、改めて遺体の顔を見る。

違和感を覚えたからだ。


顔の凹凸(おうとつ)はその人間が生まれ、

いままで生きてきた環境・食生活などで大きく変わってくる。

分かりやすく判別できるのは、食生活からくる太り過ぎは

身体全体に症状を引き起こす。

脂肪は、2,3重顎や頬の膨らみ、皮膚のただれなどが挙がる。


顔の一部分が気になったわたしは、

画像ファイルを閉じてもう一度トビに連絡した。

「トビ、この遺体の顔を部分検索してくれ」

『―――ああ、なるほどね。そいつは盲点だった』


人物検索ツール『アルゴ』は、

人物の本名または静止画像、動画どちらでもいい。

システムによって保存されている名前または顔を認識することで

本人の個人情報が丸裸になる。

このツールの問題点があるとすれば、

整形手術によって、変わった顔を認識しても該当しないケースがある。

本名と偽って、偽名を検索した場合も同じ。

つまりは、万能とは程遠い代物だ。


『古賀さんの言う通り、コイツ整形してる。

『それも、1回や2回の規模じゃない。40以上と見ていい。

『数分待っててください。原型を構築後、もう一度検索します・・・。


最近の整形手術は、

4,5年前と比べて大幅に手術時間の短縮や

1回に多数の部分を同時に手術出来るなど進化したと聞くが。

40以上となると、

・・・一体どういった人生を送って来たのか中々興味がそそる。


立っているのに(だる)くなったわたしは、ブロック塀を背もたれに使う。

ピクリ、と鼻が(かゆ)くなる。

周囲の環境が変わったな。(にお)いでなくとも見れば 一目瞭然(いちもくりょうぜん) だ。


40以上の人間に囲まれるのは、あまり良い状況とも言えないし

それも全員が黒衣、黒色の装束を羽織っているだけ

不気味に他ならない。


 「投稿の気持ち」

 ここからは探偵さんのターンです。

 次回も読んで戴ければ幸いです。

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