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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第2話「プライマリー・アシスト」
29/63

#007 3種類

わたしが知る限り、リトルビック社の携帯電話は3種類しかない。

一般的には冷蔵庫やクーラーなど『冷やす』という特性を持つ

電化製品の開発と製造をメインとした製造会社として知られている。

携帯電話は『冷やす』特性を活かしネットワーク上での『エラー』を避け、

夏季には『ひんやり』とした感覚を味わえる。


3種類しかないのには、理由がある。

会社のサンプルとして作られた『スノウ』『クール』『スクリューム』の

販売台数は微々たるものだと報道されていた記憶がある。


依頼人が落とした携帯電話(スマートフォン)は、恐らく『スクリューム』という型番(タイプ)

勤め先が『木嶋サプライズ』なら尚更だ。

あそこの会社の求人情報は範囲がかなり狭いことから、

年齢や彼女の外見から見ても清掃員ではなく、OLと見ていい。

3種類の型番(タイプ)の中でOLが一番好むのは

デザインを重視した『スクリューム』の他にない。


有難ありがたいことに一般的には多く知られてはいないが、

リトルビック社製が作った携帯電話には、

電源(バッテリー)が切れていても常時機能し続けるGPSが内蔵されている。

この『GPS不滅システム』によって、

どこに落としたか直ぐにでも分かるのだが、

わたしは依頼人の携帯電話よりも彼女、

―――個人と付き合っている彼氏について興味を持った。


人物検索ツール『アルゴ』の調査結果から、

河島順子とは高校の時から付き合いが始まっている。

彼氏、男の名前は大嶽(おおたけ) 和馬(かずま) 。

金融庁検査局出身の経歴(キャリア)があったのだが、

2カ月前に辞めている。


金融庁の検査局というのは、

銀行や保険会社、証券会社などの金融機関に対して検査。

『検査マニュアル』に基づいて、

金融機関がきちんとルールを守って営業を行っているか

リスク管理体制は整っているかなどの

経営実態を厳しくチェックする業種だ。

多少差異はあるものの、

警察で言うところの『監察官』それが彼の仕事だった。

 

・・・さて、と。

わたしは思考と歩くことを止め、

赤レンガに取り付けられているインターホンを押した。

数秒待つが、反応がなかったことからもう一度、押すが矢張り反応がない。


鉄格子越しに庭を見渡すと、スポーツカーが一台止まっていた。

アメリカを代表するスポーツカーとして、1950年代から人気のコルベット。

銀色のシボレー コルベット Z06。


まだ、洗車して間もないのだろう。

水出しのホースは巻かれて仕舞われているが、

ワックスがけ用の布巾やバケツが放置してあった。

そのまま出掛けるというのは不自然だ、

と思ったわたしはトビに連絡を取った。


こういった金持ちの住居には、

大抵は強固な防犯セキュリティーが組まれている。

下手に侵入してセンサーに触れると厄介だ。

トビに連絡したのは、セキュリティーの解除が目的ではない。


『はい、なんですか。ボクを放置した古賀さん』

少し怒っているようだ。

先ほどの、わたしが彼にした行為の件をまだ根に持っているようだった。


「分かった、分かった。

「さっきの件は謝るよ。放置したまま帰って悪かったな。

『もういいですよ。それで仕事ですか?

「ああ、わたしが居る目の前の住居だが。

「室内に置いてあるだろうノートパソコンをハッキングしてくれないか。

『はいはい、分かりましたよ。数秒、お待ちを。


通話を一度切断したわたしには、イヤな予感が頭の中で()ぎった。

この予感には確信が持てない。

しかし、胸騒ぎが収まることはなかった。

直感的にわたしは住居の周囲になにか目ぼしいものがないか確認すために

捜索しようと一歩踏み出す前に着信音が鳴った。

トビからだ。


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