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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第2話「プライマリー・アシスト」
23/63

#001 探偵の朝は早い

わたしの日常は、早朝4時の起床から始まる。

新聞配達とランニングを軽く済ませた後、

事務所に備え付けてあるシャワールームで汗を洗い流し、

いつも着用している黒いスーツと赤いネクタイを身に纏う。


漆原のおっさん『マスター』から貰った高級珈琲豆『ブルーマウンテン』

手動タイプの臼式ミルに1杯分を入れ、挽き始める。

この挽いている時にミルから徐々に香り出る匂いが堪らなくいい。

電動タイプにはない雰囲気を作れるのは、昔ながらの手動タイプだけだ。

粒の大きさにバラつきがあると、

コーヒーの持つ風味が十分に引き出せなくなる為

なるべく全体的に均一にゆっくりと引き続け、5,6分後。


中細挽きにしたものを用意しておいた

ドリッパー、

コーヒーをいれるときに用いる、カップ形で底に小さな穴のあいた器具に

ペーパーフィルターをピッタリとセット中へ入れる。

群なくお湯を注ぐためにドリッパーを揺らし、粉の表面を平らにすると

サーバーの上に置く。


沸騰させずに95℃前後のお湯をほんの少し淹れて蒸らした後、

数秒ほど擱いて3回に分けておよそ1杯分の140ccを注ぎ込む。

コーヒーカップに注ぎいれると香りを楽しみながら、

安価で仕入れたパンを一緒に口へと運び入れる。

これこそ、平和な日常への至福のひと時であろう。


『ブルーマウンテン』の非常に高い香り、繊細な味は

貧乏生活を強いられるわたしへのご褒美といっても過言ではない。


限られた地域でしか栽培されないため、

収穫量が極めて少なく、高価な豆として知られている。

現在では、一昨年をピークに高騰しつつあると聞く。


朝食を終えたわたしは、イヤホンを使って左耳でラジオを。

右耳と目でテレビのニュースを聞きながら、歯ブラシで磨く。

必要な情報は、最低限の時間と量がものをいう。


この情報社会で最も金になるのは、個人の知識や技術ではなく。

企業や政府関係者の情報にある。

インターネットを経由して、手に入る情報がすべて嘘とは言えない。

しかし、架空サイトがあるように

少なくとも半分以上がデタラメな真実とは程遠いもの。


朝のテレビニュースは昼や夜よりも貴重だ。

わたしが推定した分析によれば、

最も真実に近い情報を多く扱っている、と見ている。


9時を回ったことを事務所に掛かった電波時計で確認すると、

わたしはいつも通り『営業中』の札を掛けに表へ出た時だった。


デジャブ。

白色のワンピース。

少し栗色がかった長いストレートの髪に、

淡いピンク色の唇が特徴なカワイイ系の彼女。

間違いなく、

そこに立ってわたしを待っていたのは赤い眼をした神崎忍だった。


赤い眼、

充血した目から窺えるのは

弟・・・尚也の死を受け入れた自分への償いだろうか?

それとも大切なものを失った悲しみか。

どちらにせよ、

わたしはなぜ彼女がまたここへ来たのかが理解できなかった。

昨日の今日で、また依頼を持ってきたという訳でもなさそうだが。


「ここで・・・、

「ここで私を雇って頂けないでしょうか。

唐突な質問だった。


どういった経緯でそうなったのか気になったわたしは、外での話もなんだし

「・・・取り敢えず、中でどうですか」


彼女を招き入れる形で、今日という日が始まった。


 「投稿の気持ち」

 第2話「プライマリー・アシスト」はじまりです。

 第1話通して読んで下さった方々、誠にありがとうございます。

 次回も読んで戴ければ幸いです。

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