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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第1話「正義を成す悪」
20/63

#018 俺=サイコキラー

家畜としてのブタは、

原種であるイノシシが絶滅せず生息数も多いまま現存している。

免疫力が強く、抵抗性だけでなく

環境への適応性にも富んでいるため飼育は容易く、

豚肉や脂肪を食用とするために世界中で飼育されている。


空腹や飢餓状態にしたブタは動物の本能のおもむくまま、

脂肪つまりは、

―――人間の肉をも食べ尽すというニュースで

昔、アメリカでそういう事件があったと聞く。


「キミが言ったのだろう。踝君を『性欲の狂犬』と、

「だからキミが殺した16人の命を16匹の狂犬と模し、襲わせた。

「口だけの狂犬だったみたいだね。

「最初はペチャクチャと耳障りだったが、

「最後は敵である『わたし』にすがってきた。

「心の底から笑ったよ。

「人間という生き物は、実に滑稽で面白いものだ。

「そうは、思わないかい?


ガチガチ、と身体が震えた。

これは臆病から来る震えではない。

恐怖、『異常にした異形の化物』から襲って来る容赦のない威圧感に、

私は自分の心中を支配していた『復讐心』は完全に失われていた。


人間社会において、上の人間に頭が上がらないと同じように

私の前に立つ『絶対強者』

遥か高みの存在に手も足も出すことが出来なかった。

無論、麻酔が効いていなくとも動けなかっただろう。


 

「さて、そろそろキミの審判を始めようか。

「クスリを使って禁断症状からの飛び降り自殺、

「可笑しくはない。ただ、それが立て続けに10件・・・

「それはどう考えたって、異常だろ伊達先生。

「統計的に考慮しても、だ。

「10人が連続して致死率の高い20階を越える

「高層マンションから身を投げるか?

「1件ないし2件くらいは、

「首つりや手首を切っての自殺があっても可笑しくはない。

「つまり、全員が自殺じゃない。

「これは他殺だ。


―――他殺、その言葉を聞いた瞬間私は思いつくことがあったせいか、

反射的にピクリと額のシワを寄せる。


「ああ、いま反応したね。

「良かったよ。別にハッタリを咬ました訳じゃねぇ~けど、

「反射的にでも動いたってことは、突き落としたんだろ。

「協力してもらった学生にクスリを飲ませて偽装自殺とは、

警察サツも驚いてたよ。


ジロリと男を見る。

何も言っていないのに心を見透かれているように次の言葉を吐く。


「ん? 証拠、勿論あるよ。

「屋上の監視カメラを避けて犯行に及んでいたのだろう。

「どうして、ここから落ちた?という疑問に思う箇所が何件かあった。

「だから、

「この町の20階建て高層建築物の

「屋上、非常階段、スタッフ専用エレベーターに

「盗聴用の小型監視カメラを1週間前からセットしていた『アホ』から

「証拠品能力のないデータを貰った。

「バッチリ、アンタが突き落とすシーンが映っていたよ。

「どうして、こんな話をしたか。もう分かるよね。


前触れ、前兆は感じていた。

しかし、

このタイミングでこの男がここまでの行動に走るとは想定外だった。


トン、と。

背を押されたというよりも触れただけに近かった。

死に際に見れるという『走馬灯』もなく、私は命を落とした。

享年43歳、2020年3月9日午前2時58分。

私は3階建ての廃ビルの屋上から黒い絨毯の上に突き落とされ、

命を奪われた。


シデムシは、動物の死体に集まり、

それを餌とすることで知られている甲虫。

その名も由来も、死体があると出てくるため、「死出虫」と名づけられた。

その名に恥じぬ死肉食で、

動物の死体や死体で繁殖するハエの幼虫を捕食する。


・・・全く持って、便利な掃除屋だ。

「地獄に落ちてろ。テメエの脳髄は、既に虫の腹の中だろうが」


わたしは、黒い絨毯に喰われていく伊達の姿を見て食欲が出た訳ではないが

1日中、歩き回ったせいか腹の虫が騒いだ。


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