#013 イカレタ司会者 <後>
『第4問で――す。キミ達の通信端末『スマートフォン』は何処でしょう?
「‼」
『3問目を出題した意味が分かれば、直ぐに答えられるはずだよ。
『シンキングタイムは、30秒。
「3つ目の問題は、
「『アピス』と『メル』キミ等のコードネームの意味は?
ぼく等のコードネームを知っているのは、探偵さんだけの筈・・・。
『24、23・・・。
彼等が知る方法はひとつ。
ぼく等、どちらかのスマホを見たということ。
『18、17・・・。
「あなたが持っているのでは?」
苦笑い。
画面に真っ白な歯が映ると同時に高笑いが聞こえた。
『HAHAHA,HAHAHAHAHA。キミ、最高。超―――ウケル。
『ああ、気持ちいい。持っている訳がないだろう。
『3問目はただのブラフ。ひっかけ問題。
『残念無念、不正解で―――す。ブッブー。
「ひっ・・・卑怯者‼」
『卑怯者で結構、けっこう。コケッコー。
『ここはな、小便くせぇガキが来る処じゃあね~の。
『他人を信じたテメエの経験不足が招いた結果だ。
正論だった。
悪党に言われて気付くなんて・・・ぼくはバカヤロウだ。
大バカヤロウだ。
探偵さんも言っていたじゃないか。
相手のペースに呑まれるな、と。
なのに・・・、
『頭は冷えたか、少年。
『しかしなんだ。不正解には『罰』を。
『踝君―――、入場‼
「やめろ―――――‼」
ふしだらな行為に及ぶと考えた少年・・・ジュンは大声で叫んだ。
『安心し給え、今回は入室のみだ。
『それでは気を取り直して、第5問に参りましょうか。
『サービス問題。彼女・・・連山雅弓は、キミのことが好きだ。
「違う」
『正解、簡単すぎたかな。
『キミの両手首の錠を解いてやるよ。
ガシャン、という機械音と共に手首に巻かれていた鎖が軽くなった。
ジュンは上に持ち上げて、鎖を床に下ろした。
『さて、残すところ僅かになってまいりました。
『第6問。誰を尾行していた?
今までの質問がまるで遊びだったかのように、真に迫る問い掛けだった。
先ほどまで陽気な男の面影は、一瞬にして冷酷な目つきに変わっていた。
ゴクリ、と唾を呑むジュンに続けて質問を次々と繰り出す。
『第7問。誰に頼まれた?
『第8問。誰に雇われた?
同じ質問のように聞こえたジュンは首を傾げる。
『正解。
まだ何も答えていないジュンはこんがらがっていたが、
男の顔を見てどういう意味なのか直感的に理解した。
この男・・・コイツは、ぼくの行動で答えが分かったのではないかと。
一気に寒気と恐怖が身体を突き抜ける。
それと同時にジュンは、
自分たちを襲った犯人が誰なのか・・・分かってしまった。
こういった問い掛けをしてくる人物に会ったことを。
ふざけたトークで笑いを取ったあの頃のことを。
奇怪な挑発、真っ白な歯。
薄気味の悪い笑みを。
ジュンはどうして忘れたのかと思い返し、
目の前のテレビに映っている男の正体に、
恐怖しながら思い起こしてしまった。
『最終問題の時間です。
『わたしは誰でしょう?
「投稿の気持ち」
次回から、『尾行&監禁編』と『本編1話』のクライマックスです。
何部かに分けてアップしていきます。
読んで戴ければ幸いです。