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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第1話「正義を成す悪」
14/63

#012 イカレタ司会者 <前>

自分たちの身に何が起こったのか未だに分からぬまま、

数分が経過した時だった。

旧型のブラウン管テレビの電源が入る。

ノイズ音が狭い一室から耳に響き渡ると、テレビ画面『映像』が乱れる。


スノーノイズまたは砂嵐と言われる現象。

アナログテレビ放送を受信する際のノイズの一種。

画面『映像』に白い点が多数ランダムにポツポツ、と現れる障害。

画面に雪を降らせたように見えるためこのように呼ばれる。


数秒、映像が乱れたあと画面に男と思われる顔が映る。

男は渋い声で「マイクテス」と繰り返し言って、

こちらの反応を窺うような目で

少年の瞳をジッ、と見つめる。

目が見開き、呼吸をしていることを確認した男は口を開く。


『起きたようだな。名も知らぬ少年君子。

『いま、自分たちの置かれた状況をうまく理解していないようだな。

『ああ、安心しなよ。そっちで意識を失ってる嬢ちゃんには

『まだ、


「まだ」という部分を強調して、薄気味悪い笑みで少年を見下し。


『手出しはしていない。

『キミの返答次第では、女に飢えた狂犬の餌になるだけだが。

『さて、し・つ・も・ん・タイムで――す。


陽気な発言をした男は、問いを出題した。


『第1問。キミの名前は?

「・・・・・・・・・・」

『あれあれ、黙り込みはNGですよ―――。

『仕方ないですね。それではご登場お願いします。

『危険地帯『ロンシュウ街』から来た―――、


どこかのプロレスの司会演説の喋り方で飄々と続ける。


『ワイセツ陳列罪から始まり、婦女暴行罪、少女監禁罪など成した狂犬。

くるぶし らん 。


パッ、と出入り口と思われる場所に明かりが灯る。

透明のガラスの向こう側には、黒い覆面を被った上半身ハダカの人間が。

荒々しく息を吐きながら異様な空気を感じ取った少年は、


「わ・・・分かった。僕の名前はタオ・ジュン」

『OK、OK。理解が早い少年君子には『褒美プレゼント』をあげよう。

『ジャ、ジャーン。彼女の身体の鎖を解く『1番目の鍵』だ。


天井からキラッ、と輝く物が落ちてきた。

チャリン、と床に落ちる音がした。

顎を引いて下を見ると確かに『1番』と記された鍵があるのが見えた。


『これから出す問題に対して、正しい答えを言えば。

『おうちへ、帰してあげよう。

『ただ、

『間違った答えは、キミ自身の『体』と彼女の『心』が崩壊を招くだけだ。

『それでは第2問。彼女の名前は?

連山れんざん 雅弓まゆみ 」

『第3問。鍵ゲットのチャンス、

『『アピス』と『メル』キミ等のコードネームの意味は?

「⁉」

『どうして、ぼく等のコードネームを知っているのかって顔してるね。

『教えて上げるよ。答えられたらね。

「・・・・・・、『アピス』はラテン語でミツバチ。

「『メル』もおなじくラテン語でハチミツという・・・意味です」

『正解で――す。ご褒美に彼女の手首を解く『2番目の鍵』をあげよう。

『鍵はキミの座っているイスの裏側だよ。


男は相も変らず、薄気味悪い笑みで少年を威嚇する。

少年は心臓をドクドク、と脈打ちながら次の質問を待った。

この時、『尾行』というスリルを楽しんでいた

心燻ぶる躍動感は少年から消え失せ、

代わりに残酷な恐怖感と臆病な檻によって閉じ込まれていた。


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