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サイコキラー探偵  作者: 三鷹 キシュン
第1話「正義を成す悪」
13/63

#011 尾行

尾行とは、

監視などのために気づかれないように人のあとをつけて行くこと。

対象人物に悟られてはいけない。


『尾行』という行動は、

ストーカー行為規制法から恋愛感情の充足ないしそれに関する怨恨、

付き纏いや待ち伏せなどをしない限り犯罪には成りえない。


不安、迷惑をおぼえさせるような方法での尾行、

付き纏いなどによる軽犯罪法違反。

この場合、犯罪が成立しても国民の権利を不当に侵害しないように、

注意されていることがあっても逮捕されることはない為、

即ち、彼等が行っている対象人物の尾行は犯罪ではない。


2人組の男女、

ぽっちゃり系の少年の方はポテトチップスの袋を片手で持ち、食べながら。

痩せ型の少女の方はスマートフォンをタッチ操作して

ゲームアプリを弄りながら。

それぞれの役割を果たしていた。


ポテチを口に運ばせながら、両目『視覚』で対象者の『行動』に気を配り、

ゲームを楽しみながら、両耳『聴覚』で対象者の『言動』に注意し、

彼等は自らの小遣い稼ぎと『尾行』というスリルを味わい、

『心』の中で何かが躍動する感覚を楽しんでいた。


「彼女の動きは、どう?

「さっきと同じ」

「そう。

「今迄、散々いろんな対象者を追って来たけど彼女ヤバいわね。

「うん。報告した方がいいかもしれないね」


スマートフォンでゲームアプリを弄っていた少女は、

アプリを閉じメールページを開いて、文章を打ち込んでいく。


ダイレクトメール

【宛先】探偵 古賀明彦

【送信者】尾行者 アピス

【文章】まず始めに、『アピス』と『メル』の『尾行』バイト発注いただき

    ありがとうございます。

    早速ではありますが、ご報告いたします。

    対象人物・・・彼女の行動は不可解な点が数多く見受けられます。

    ①『危険地帯』への侵入

    ②最近話題の合成麻薬『ディアブロ』についての出元調査

    ③私達、傍から《第三者》見て彼女の行動は切羽詰まった感じ

    などが今のところ見て取れる情報です。

    引き続き、『尾行』と『報告』する所存です。

【追伸】私達のコードネームについてですが、漸くわかりました。

    しかしながら、

    わたしはハニートラップを仕掛けるつもりはないですよ。


文章を打ち終えた少女・・・アピスは、ダイレクトメールを送信して

前髪を両側に分けて再びゲームアプリを。

ポテチを食べ終えた少年・・・メルは、

リュックサックから新しい菓子袋に。

手をそれぞれ伸ばして、『尾行』を続行する・・・・・・。


この後、彼等が絶体絶命な窮地に立たされることも知らずに。

彼等は『尾行する側』であり、また『尾行される側』でもあったことは、

身を持って3分後に知ることになる。





5時間後。

ぽっちゃり系の少年が目を開けると、

隣に縛られた少女・・・相棒として行動していたアピスの姿があった。


少年が動こうとした瞬間。ガッ、と物理的な何かによって妨げられる。

両目を見開いて、

少年は自分の身体に何が起こっているのか視線を落とすと、

アピスと同様に、木製のイスに座らせられギュッ、と。

鉄の鎖で縛り上げられていた。

頭に痛みを感じながら周囲を見渡した少年が見たのは、

旧型のブラウン管テレビやビデオレコーダーが投げてある。

廃倉庫と思われる埃っぽい一室だった。


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