第三話:異世界へ
ふと目が覚めた。
ーここは、どこだろう。
僕は曖昧な記憶の糸を辿り始めた。
ー確か、数学の授業を受けていて
眠ってしまって•••、
よく思い出せない。
あの時 たしかに何かが起きたハズなのだ。
眠りながら授業を受け、そして•••。
どうやら、これ以上のことは思い出せない
ようだ。諦めて現在の状況を把握する
ことにした。
灰色に染まった空、葉を失った木々、
吹きすさぶ風。
全てが あり得ない状況だった。
ーまるで世界の終わり、いや
むしろ異世界といった方が正しいか。
そんな状況だった。
雨が降り始めた。緑の雨だ。
僕は、本能的にここは危険だと判断した。
水平線に目をこらすと、きりたった崖が
目に入った。
僕は、その崖に向かって全速力で走った。
強さを増す雨。しかし、僕は何とか
崖にたどり着いた。
とてつもなく高い崖だ•••。
見上げても全く頂上が見えない。
しかし、横を見ると洞窟の入り口のような
穴がある‼
僕は、雨宿りのためにそこへ逃げ込んだ。
服はびしょ濡れだったが、好奇心は
衰えてはいなかった。
穴は意外にも奧まで続いているようなので
進んでいく。
数メートル進んだ所で、はたと立ち止まる。
ーなぜ暗いはずの洞窟で こんなに
やすやすと前へ歩けるのか。
その答えは簡単だった。
正面に灯りが見えたのだ。
ー灯り?何の?
その灯りは近づいてくる。
まるで、いや実際に何者かが
その灯りを手に僕の元へ•••。
逃げ出す間もなく、もはや僕は目の前の
それと対峙していたー。