第一話:主に回想
ーその数時間前、僕は職員室にいた。
「ーで、お前 どうすんの?」
「どうする、って何をですか?」
「大学とか考えてねーの?」
「まだ高2なんで•••」
こんな時ばかり、世間の肩書きを
利用してしまう。
「ふーん、去年のお前は もっと野心的
だったぞ?」
確かに そう言われて、思い当たる節は
ある。去年、つまり僕が高1の頃の話だ。
今、僕の目の前に座り、足を組んで背もたれに体を預けまくっている男こそ、僕が
高1だった時の担任である。
僕は高校に入学した時は確かに期待も
していた。それほどランクの高くない高校
の方が詰め込み教育では無い、という期待でもある。
しかし実際に入学してみると、どうだろうか。
だんだんと一種の飽きのような感覚に
体が慣れていくのを感じていた。
そこへきて進級。今年の数学担当は
頼りない。ダブルパンチだ。
「まぁ、全く考えてないワケでは
ないので。」
「ふーん」
そんな会話をして職員室をでた。
次の授業は数学かー、
ここまでが回想である。
その検討を始めた時、先ほど職員室で
話をした数学教師が廊下にいるのが
目に入った。
ここで授業 脱出はマズい。
本能的に、そう思った。
しかし襲いくる睡魔に勝てるハズもなく、
僕は眠りに落ちてしまったー
ー多分。