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9話


笑い死ぬかと思った。マジで、イケメンが下ネタ連呼はうけたわ。それに夜宵が恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせてるのも俺の嗜虐心をくすぐる。どうやら俺は男に対してはSらしい。因みに女性に対してはMだ。美少女の臣足に踏まれるのが俺の夢。

おっと、話が変態になってしまった。


「はぁ、仕方ないな。夜宵は俺の相棒だし、今回のことはこれで赦してやるよ。」


「う〜、何で僕があんな卑猥な言葉を叫ばなきゃいけないんだ。」


「男同士なんだからそんなに気にすんなよ。」


まったく、夜宵は潔癖過ぎるんだよ。男同士なんだからこれくらいは普通だろ。


「はぁ、もういいや。とりあえずこれからどうするのか決めようよ。」


「そうだな。」


といっても今更来た道を戻るのもな。いや仕方ないんだけどさ。


「でも、引き返すしかないよね?」


「あぁ、引き返すしかないな。」


というわけで、引き返すことになった。



「それにしても、二人で闘うとレベル上がるのが早いな。」


因みに、今の俺達のスキルはこんな感じだ。


神崎 柳牙

《スキル》

<スキル>

【群の(ハーレムキング)】Lv1

【心奏拳《水》】Lv7

<アーツ>

【牙突】Lv19

【風塵脚】Lv6

<熟練度>

拳:Lv17


如月 夜宵

《スキル》

<スキル>

【ロックオン】Lv8

【見切り】Lv12

<アーツ>

【ドライブショット】Lv5

【銃拳】Lv18

<熟練度>

銃:Lv12



一応、新しく増えたスキルとアーツの説明をしておこう。俺の【心奏拳《水》】は相手の攻撃を受け流し、自分へのダメージを軽減するスキル。これがなかなかに使えて、上手くいけばどんな攻撃も無傷で切り抜けられる。次に【風塵脚】だけど、ようは蹴りだ。ただし、風を纏った蹴りなので威力は高い。また、離れて使うと真空刃を飛ばすこともできる。

夜宵の【ロックオン】と【ドライブショット】は夜宵が俺と会う前から持っていたものだ。【ロックオン】は銃弾の命中力を上げるスキルであり【ドライブショット】は威力の高い銃弾を放つアーツである。だが、残念ながら夜宵の銃の弾が有限であるために補給手段が乏しいこの環境では使う機会は少ない。



「でも未だに【群の(ハーレムキング)】の効果は不明なんだよな。」


【群の(ハーレムキング)】は俺が初めから持っているスキルなのにも関わらず一度も発動してくれていない。


「やっぱりハーレムを作らなきゃなんじゃない?」


確かに、夜宵の言うとおりハーレムキングというくらいだ、ハーレムがないといけないのかもしれない。


「簡単に言うなよ。ハーレムは男の夢であって俺にとって人生の到達点なんだぜ?」


そう簡単にハーレムが作れれば誰も苦労しない。


「人生の到達点ってそんな大げさな。」


「うるせい、イケメンには俺の気持ちは分からないんだ!!」


これだからイケメンは。女の子にモテることの難しさをちっとも理解していない。本当、消え去ればいいのに。


「偏見の塊だね。」


「いや、俺の経験則だ。」


まぁ、二次元限定の経験ですけど。




その後も俺達はたわいもない話をしながら元の道を戻っていく。途中、夜宵にはメイド服やナース服の魅力について徹底的に語ってやった。











「ねぇ、聞きたいことがあるんだけど。」


「チャイナ服の魅力について?」


「違うよ!!

もうその話はいいから現実を直視して。」


難しいことを言う。俺にとっての現実は二次元なのだから。そういえばここ最近ずっとギャルゲーをしていない。そのせいでギャルゲー成分が不足している。

あぁ、だからこんな幻を見るんだな。


"青熊"


「はぁ、ギャルゲーしてないせいで、いるはずの無いモンスターが見えるぜ。」


「なんか色々と残念なセリフだけど、諦めて。目の前の光景が真実だよ。」


くそ、何故だ?

俺達は元の道を戻った筈なのに何故に更に強そうなモンスターが出てきているんだ?

最初はまだ強い敵ゾーンを抜けきっていないだけだと思っていた。引き返しているのだからいつかは敵も弱くなっていくと信じて前に進んだ。しかし、現実はどうだ、進めば進む程敵は強くなってく一方だ。


「つまり、俺達は更に町から遠ざかったというわけか。」


敵の強さと町との距離は比例している。

はぁ、何で途中で気がつかなかったんだろう。

………夜宵に夢中になってナース服の魅力を語っていたからか。


「よし、このイライラはあの熊にぶつけよう。」


「それ、思いっきり八つ当たりだよね。」


はっ、八つ当たり上等。そうだ、俺は悪くない。悪いのはそこにいる熊だ。あの熊さえ出てこなければ俺達が間違った道に来ていることを知ることはなかったんだ。


「よくも俺達に現実を見させてくれたな!!」


「気持ちいいくらいの責任転嫁だ。」


「知るか。」


幸い、熊は一体でふらついている。これなら2対1のリンチが可能だ。


「よし夜宵、俺についてこい!!」


熊への憎しみを胸に俺は飛び出していった。


「何でだろ、僕は熊の味方をしたくなってきたよ。」


何だかんだ言っても夜宵はしっかり俺の後をついてくる。これがツンデレ?

……やめよ、男のツンデレなんて気持ち悪いだけだし。



「風塵脚!!」


熊の後頭部に不意打ちを喰らわす。しかし、熊の毛皮が衝撃の大部分を吸収してしまい大きなダメージにはならなかった。


「ガァァァァァ!!!」


いきなりの敵襲に怒り狂う熊。


「夜宵!!」


俺の隙をカバーするように前へ出る夜宵。この辺のチームワークはこの2日間で随分と磨かれた。


夜宵は【見切り】で熊の攻撃を避け、細かい隙に銃を叩きつける。弾を無駄に消費できないため、苦肉の策だ。


「いくぞ!!」


夜宵のスキル【銃拳】が発動し、流れるような動作で熊に銃を叩きつける。更にその隙を突くように近距離での銃撃も加える。


「柳牙、頼んだ!!」


今度は俺が夜宵の隙を埋めるべく前線に立つ。因みにこのような動きを夜宵曰わくスイッチというらしい。

俺は熊の攻撃を【心奏拳《水》】で受け流す。だが、"青熊"、やはりというか"鎧蜘蛛"や"巨猿"よりも強敵なだけあって全ての力を受け流すことはできず、多少はダメージをくらってしまう。


「返してやるよ、その力。」


【心奏拳《水》】の応用編。相手から受けた力を受け流し、尚且つその力を利用して相手に攻撃を返すという所謂、カウンター攻撃。

俺はカウンターで地味に熊にダメージを与えていく。だが、残念ながら俺も熊の攻撃を無効化できていないのでこちらも地味にダメージが蓄積していく。


「夜宵。」


夜宵とアイコンタクト。


「了解した。」


夜宵は正確に俺の意思を汲み取り、熊の目に銃弾を放った。熊は放たれた銃弾が目に直撃するのを怖れ、夜宵の銃弾を避ける。


「バカ、余所見してんじゃねぇよ。」


熊が目に迫る銃弾を避けるとなると、必然的に一瞬の隙が生まれる。そこを俺は容赦なく攻める。


「ツイン牙突!!」


俺の中でも最高の威力を誇る攻撃が熊の心臓がある辺りに直撃。


「ガァァァァァ!!!!」


熊はHPを全て散らし、消えた。




「ふぅ、スッキリした。」


「僕は熊に同情するよ。」


いや〜、俺と夜宵の相性って実はかなり良いんだよね。息が合うっというか、以心伝心というかさ。これで夜宵が美少女なら文句なかったのにな。


「はぁ、夜宵は何で女の子じゃないんだろ……」


「いきなりだな!?

ほら、そんな下らないこと言ってないでもう一回戻るよ。」


気のせいか、夜宵が少し慌てた気がする。

まぁ、いいか。


「面倒だな。」


「諦めていくよ。」



ワオーーーーン


「遠吠え?」


それは昼間だというのにやけに響く音だった。


「あまり良い予感がしないね。」


俺も夜宵の意見に賛成だ。


「遠吠えの主に鉢合わせないように急ぐか。」













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