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4話


「っく!!」


体中が痛む。でも良かった。痛いってことは死んではいないってことだから。


辺りには、ゴブリンが死んだ時に現れるような光がまだ漂っている。


「猪がクッションになったわけか。」


どうやら落下時に猪が俺のしたにいてくれたことで衝撃が随分と緩和されたらしい。それでもHPの半分は持っていかれた。急いで回復薬を一本飲み干して体力を全快させる。


「さて、どうやって町に戻ろう?」


俺が落ちてきた崖を見上げながら考える。

猪を倒した俺は理沙さんと咲夜さんとのウフフフが約束されたようなものだ。後は町に帰るだけ。よって問題はいかにして帰るか、だ。


「……アレ、無理じゃね?」


猪から逃げるのに精一杯で町の方向とか完全に見失っている。崖からなら何とか帰れただろうけど、崖下からは無理。


「え、詰み的な感じ!?」


まさかの希望を持たせておいて、それを摘み取るパターンですか!?

上げてから突き落とす。泣きゲーでよくある手法だけど、身を持って体験したくはなかった…。


「いや俺は諦めないぞ!!」


そうだよ、誰かに道を訊ねればいい。見渡す限り森だけど、いつかは誰かに会う筈!!

…会うよね?


カサカサ カサ


何て思ってる間に何かが近付いてくる音が聞こえる。



「もうどうにでもなれよ。」


半分ヤケになっている自覚はある。

回復薬は残り二つ。それでどうにか町に戻るまで命を繋がなくてはいけない。なかなかに困難なミッションだ。


"ゴブリン"×5


現れたのはゴブリンの団体さん達。


「悪いけど、俺は死ぬわけにはいかないんだ。」


童貞のまま死んでたまるか!!

後もう少しで長かった俺の道程(童貞)も終わる……かもしれないんだ。しかもあんな美人さんと。諦められるか。












「し、死ぬかと思った。」


あれから、ゴブリンを十二体、猪を三体倒した。いや、マジで死ぬ。HPこそまだ大丈夫だけど、俺の余裕的なのが0だわ。


「そういえば、あれからスキルとか見てないな。」


最後に見たのは【群の(ハーレムキング)】の効果説明の時か。ということでメニューを開き、そこからスキルの項目を選択する。


《スキル》

<スキル>

【群の(ハーレムキング)】Lv1

<アーツ>

【牙突】Lv1

<熟練度>

拳:Lv5



おー、拳の熟練度が上がって新しいアーツを覚えてる。

これは早速使ってみねば。


「えーと、牙突?」


とりあえず呟いてみる。


「おわぁ!!」


いきなり体が動いた。いや、動かされたといった方が適切か。


「いてててて。」


勝手に動く体に思わず抵抗してしまい、派手にすっ転んだ。


「次は体に身を任せてみるか。

………牙突。」


すると、俺の体は一瞬で目の前にあった木まで近付き、掌底を放った。


「す、凄い。」


【牙突】は木が倒れる程の衝撃を与えられるアーツのようだ。


「だけど、怠いな。」


チュートリアルに書いてあった通り、アーツは俺の体力を奪って発動されたらしい。

確かに乱用は厳禁だな。








――それから1年。


嘘です、それから3日です。


「3日でも辛い!!」


3日、あれから3日も経った。きっと理沙さんと咲夜さんは俺は死んだと思っているんだろうな。


「こんな筈じゃなかった。」


あれから、この辺りを歩き回ってはみたんだ。でも町の方向がわからないもんだから、不安になってすぐに引き返してしまう。

そんな俺のスキルは


《スキル》

<スキル>

【群の(ハーレムキング)】Lv1

<アーツ>

【牙突】Lv8

<熟練度>

拳:Lv18



頑張った。自分で言うのもなんだが、俺は頑張った。特に、"オーク"を相手するのは大変だった。


「俺も強くなったものだ。」


今ではオークも二匹までなら勝てる。

三匹だったら?もちろん逃げます。


「……俺はいつまで野生児でいるんだろう?」


寝る時は木の上、それも浅い眠りだけ。食べる物は生肉、もう慣れたけど最初は生臭くて堪らなかった。

因みに、排泄はしなくてもいいらしい。あと、体の汚れや服の汚れは時間が経てば落ちる。さすがはゲームの世界。



「行くか。」


今日もこの辺りを散策。今日こそは誰かと会ってみせる!!











「……もう無理かもしれない。」


もう昼も回った。今日もこの調子で終わるに違いない。そして明日も、明後日も。


「はぁ、ギャルゲーがしてぇ!!」


3日というのは俺がギャルゲーをしていない日数でもある。禁断症状が……。




「キャーーー!!!!」


天に願いが届いたのかもしれない。

今のは正に女の子の声だった。


「今行くぜ!!」


俺のテンションと期待は鰻登り。もし美人でなくたって、これで少なくとも町には戻れる。


「辛い道のりだった。」


待っていろ美少女!!

悲鳴のした方向に全力で走る。






そしてそんな俺を待っていたのは………


「男かよ!!!!!」


全力で叫んだ。心の底から叫んだ。しかもさらに悪いことにそいつは俺の天敵ともいえる種族、"イケメン"だった。














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