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10話


「役立たずな豚だとは思っていたけど、まさかここまで愚鈍だとは思わなかったわ。」


ここはギルド本部。そしてつい先ほど、第2回ギルドマスター総会が終わったところだ。

【妖精の里】のギルドマスターの椅子に座る葵は【竜の国】ギルドマスターの飯田 重信への不満を彼女の側近である島崎 鈴華、柏木 祐介にぶちまけていた。


「また何か気にくわないことでも言われたのですか?」


鈴華も祐介も、葵が【竜の国】のギルドマスターを好いていないのは前回の会議の件で嫌という程わかっている。


「俺がぶった切りましょうか?」


祐介は彼の武器である大剣を取り出して至ってまじめに言う。この安直な行動からわかるように彼は頭の中まで筋肉でできているような所謂脳筋タイプの男だ。ただし、腕は一流なので侮ってはいけない。


「本当、そうして貰いたいぐらいね。

……って、祐介、本気にしてんじゃないわよ!!」


部屋を出て行こうとする祐介を全力で止める葵。


「そもそもどうやって【竜の国】まで行くのよ。」


今のところ、町間の行き来は不可能だ。というのも途中のモンスターが強過ぎて突破できないのである。


「姐さんの命令なら、何をしたってやり遂げますよ!!」


祐介ならやりかねないと思う葵。その忠誠心は嬉しいのだが、馬鹿なのが偶に傷だ。


「で、結局は何があったのですか?」


鈴華がさりげなく話を本筋に戻す。


「それがさ、【竜の国】最大のギルド、つまりあの豚がギルドリーダーをしているところなんだけどさ。」


その町の中で一番大きなギルドのリーダーがその町のギルドマスターになる。それが決まりだ。


「300人が死んだって。」


「さ、300人ですか?」


「そう、だいたい300人。本当はもう少し多いらしいけどね。」


鈴華が驚くのも無理はない。300人と言えば、葵や鈴華、祐介が所属しているギルド【エデン】の初期人数と同じ数だ。(因みに今では900人を超える超巨大ギルドになっている。)


「死因はなんだ?」


「《オルトロス》よ。」


《オルトロス》、それは前回の総会で存在が確認されたユニークモンスター。

【水の都】でも20人以上の犠牲を出した危険なモンスターだ。

【妖精の里】では総会の行われた2日前から警戒態勢を敷いている。


「つまり《オルトロス》は300人をもってしても勝てない程の強敵ってことか。」


「これは私達も総力戦を覚悟しなければいけませんね。」


【エデン】の総人数900人で臨めば勝てない相手ではない筈。こちらの被害も尋常ではないだろうが、《オルトロス》に【妖精の里】壊滅させられるよりはまさだろう。鈴華はこの短い間にそこまで考え、断腸の思いで総力戦を決心した。


「はいはーい、そこー、勝手に神妙な雰囲気にならないの。」


「しかし、さすがに今回の問題は楽観視できません。」


「姐さん、俺が命を賭けて姐さんだけは守って見せます!!」


「だから、最後まで話を聞きなさいってば。

はぁ、あんた達が騒がしいから最初に結論を言うけど、《オルトロス》は10パーティーもいれば犠牲者を殆ど出さずに勝てそうよ。」


「でも【竜の国】では300人も死んだって。」


「あぁ、なるほど、それで最初の役立たずの豚の下りになるわけですか。」


頭の回転が早い鈴華は既に今回の悲劇の概要に気がついたようだ。


「どういうこった?」


「【竜の国】で珍しい鉱石が出る発掘場が見つかったらしいの。」


「それを例の豚のギルドが独占したということですね。」


「その通りよ。それで、あの豚、鉱石の発掘に夢中で《オルトロス》の警戒を全くしていなかったらしいわ。」


「分かったぜ。その油断しきったところを《オルトロス》に襲撃されたんだな?」


「正解。しかもあの豚、《オルトロス》が現れた瞬間、真っ先に逃げ出したらしいわ。おかげで指揮系統も無茶苦茶。それからは立て直す暇もなく《オルトロス》に惨殺されたようよ。」


「なんというか、救いようがないですね。それでその豚は今どうしているのですか?

そこまでの失態をしでかしたのですから、もうギルドマスターではいられないでしょうし。」


「さぁ。今日は新しいギルドマスターが来てたけどね。たしか名前は吉田(よしだ) 友和(ともかず)だったかしら。」


「新しいギルドマスターはどうでしたか?」


「前のと大差ないわね。ただの欲望と脂肪の塊よ。」


「【竜の国】は大丈夫なのか?」


「知らないわよ。」


「私達に迷惑がかかるようなことだけはやめて貰いたいものですね。」


「全くよね。

さぁ、そろそろお仕事の時間よ。情報によると《オルトロス》はこちらに向かっているらしいから、各ギルドに警戒させて。それから【エデン】の中から10パーティー選別して待機させといて。」


「ギルドへの手配は私がやります。」


「じゃぁ、選別の方は俺に任せてくれ。」


「そして、今回は私達も迎撃隊として10パーティーの中に参加するわ。異論は認めないのでよろしく。

では解散。」



【妖精の里】

プレイヤー数…9843(↓32)人

NP数…………4897(↑25)人

総合戦闘力……E

経済力…………E

発展度…………F


【水の都】

プレイヤー数…9472(↓69)人

NP数…………5483(↑72)人

総合戦闘力……E

経済力…………E

発展度…………F


【竜の国】

プレイヤー数…8871(↓341)人

NP数…………3891(↑17)人

総合戦闘力……E

経済力…………D

発展度…………F











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