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1話

『餓鬼共の世界』とは全くの別物になります。

設定なんかはかぶってるところも多いけど。




『は〜い!!みんな注目!!

僕はこの世界の偉〜い神様です。』


気が付いた時には中世ヨーロッパ風の町にいて、子供のような声がいきなり空から降ってきた、と言ったらいったい何人の人が信じてくれるだろうか。

いや、別に誰かに信じて欲しい訳じゃない。ただ、それだけ馬鹿げたことが我が身に起きているというだけだ。

周りを見てみると人、人、人。どこを見渡しても人だらけ。だが、おかしなことに、人の頭上には緑色のバーが表示されていた。


『みんな、現状を理解していないようなので、この世界のルール説明をしたいと思いま〜す!!

はい、拍手!!』


俺達が呆けているのに関係なく、空からは子供の声が降ってくる。


『みんな、ノリが悪いぞ〜〜!!

まぁいいや。では勝手にルール説明に入ります。

まず、第一前提なんだけどこの世界での死は現実に死ぬのと同じだよ。現実逃避して自殺に走らないように!

じゃぁ本題ね。みんなは今、僕の考えたゲームの世界の中にいます!!

因みにこの世界をクリアできるまでは元の世界には帰れません。クリア条件はズバリ、僕に会いに来ること。と言っても分からないだろうから、もう少し説明するね。まず、正三角形を思い浮かべてよ。

浮かんだ?

そしたら、その正三角形の頂点の部分に小さな町があるんだけど、そのどれかが今、みんなのいる町というわけ。つまり今いる町の他に同じような町が二つあるってことだね。

で、僕はその正三角形の中心にいるから、みんな会いに来てね。

みんなは人間で弱っちいから、ここで偉い神様からアドバイス!!

今みんながいる町はみんなの行動次第で大きく発展していくよ。そしたら安全に僕のところに来るのも不可能じゃないかもね。

後は、弱い人間は群れて事を成すべきだから、ギルドっていう制度があるんだ。ギルドっていうのは少人数のチームみたいなもので、色々な特権がつくから是非とも活用してよ。

ギルドの組み方は追々分かると思うから、今は言わないよ。長くなるからね。

で、肝心の報酬なんだけど、最初に僕に会いに来てくれた人を神様にしてあげるよ。凄いでしょ?人間が偉い偉い神様の仲間入りできるなんて本当はありえないんだからね。

あと、ゲームクリア時のお金やらスキルなんかはそのまま元の世界でも使えるから生き残りを目指すのもありかもね。

以上、神様でした!!」



『武器を選んで下さい。』


自称神様の妄言が終わった瞬間に目の前に四角いモニターのようなものが出現した。そこには大剣やら弓、槍などの数多くの武器が羅列してあって、ご丁寧に『タッチしてね』なんて書いてある。


「い、意味わかんねぇ。」


俺は残念ながらロールプレイングゲームなんてしたことが無いから、勝手がまったく掴めない。ギャルゲーなら博士号持ちなんだけどな。


とりあえず俺は無難に《拳》を選んでおいた。理由は俺の実家が道場で、昔は祖父に稽古をつけてもらっていたからだ。下手に刀なんか使うよりはいいと思う。


《拳》を選び終わるとモニターは消えた。




……一旦整理してみようか、俺は今異世界、しかも自称神様の作ったゲームの世界にいる。しかもこのゲームをクリアするまでは元の世界には戻れないと。



「ふざけんな!!」


ご近所では物静かで有名な(嘘です)俺でも思わず叫んでしまった。といっても周りの奴らも叫びまくってるから大して目立たないけど。


「なんでギャルゲーの世界にしなかったんだ!!」


今のは心から叫んだ。神様なんだったらできた筈なんだ、俺の長年の夢を!!


「はぁはぁ。」


さすがに周りの視線が痛い。とりあえず俺は場所を変えることにした。


少し落ち着いたので周りを見てみれば制服姿がチラホラ。女の子もチラホラ。


意外かもしれないけど、俺は女の子が好きだ。

え?分かってたって?そいつは多分天才だ。

おっと話がズレたな。とりあえず俺は女の子が好きだ。だけれど今は二次元でリハビリ中だったりする。ヘタレとか言わないで!!

俺だって本当は三次元の女の子と遊びたいんだよ。だけど怖いんだよ!!

だからヘタレとか言うなーー!!

ふー、分かって貰えたと思うけど、俺はやむおえない理由で女の子が苦手なだけであって、決してヘタレじゃない。


「何考えてるんだ、俺。」


今は女の子のことはいいだろ。生き残ることだけを考えるんだ。

まずはギルドに入ろう。そんでもって無難に強くなってあわよくば女の子と仲良くなってイチャイチャしてそんで大人の階段を………


「俺は変態か!?」


真面目な話から一気に卑猥な方向に進んだな、おい。

俺の頭は常時ピンク色なのか?

うん、常時ピンク色でした。


「とりあえずギルドとやらに入るために人を探さなきゃ。」


何はともあれ一人は心細い。別に男でもいいから仲間が欲しい。もちろん女の子なら万々歳。


というわけで、よさそうな人を探して町を歩いてみる。町には俺と同じようにこの世界に連れてこられた人と、元からこちらの世界にいただろう人の二種類いた。見分け方は二通り、まずいかにも現代人風な服装の人が連れてこられた人で、中世ヨーロッパ風の時代を感じる服を着ているのが元からこちらの世界にいただろう人。もう一つの見分け方は、元からこの世界にいただろう人の頭上には緑色のバーがなく、NPと表示されているというものでこちらは見れば一発でわかる。


「えっと、どうすればギルドに入れるんだ?」


自称神様(笑)は追々わかると言っていたけど。


『チュートリアル』


いきなり俺の目の前にモニターが現れた。周りを見てみると、どうやら連れてこられた奴の前だけに現れているらしい。


『メニューと念じれば《メニュー》が開かれます。』


俺はいじってないのに、モニターの画面がいきなり《メニュー》を表示した。そこには上から、

《アイテム》

《装備》

《スキル》

《ギルド》

《クエスト》

とある。


『《アイテム》には今持っているアイテムの一覧を表示します。

アイテムは"取り出す"と念じれば実体化させられます。また、"回収"と念じればアイテムに収納されます。』


勝手に《アイテム》が選択され、アイテムの一覧が表示される。


《アイテム》

【回復薬】×3

【携帯食糧】×4


所持金……1000円


回復薬は文字通り体力を回復する為のものだろう。なら携帯食糧ってのは非常食か何かか?

あと、お金の単位は円なんだな。なんかここだけ現実的で嫌だ。


『《装備》には現在装備している物が表示されます。』


一度メニューの画面に戻ってから、今度は《装備》が選択され、俺が今装備しているもの、というか着ているものが表示された。


《装備》

<武器>

―【ガントレット】

攻撃力:10

<防具>

―【制服】

防御力:1

<アクセサリー>

―なし


防具に制服ってなんだよ!!

防御力が1って誤差の範囲だよね!?


『《スキル》には手に入れたスキル、アーツ、また武器の熟練度が表示されます。

スキルはモンスターを倒していくごとに経験値が溜まり、一定まで溜まるとレベルが上がります。スキルのレベルが上がるとスキルの効果範囲が広がったり、効果が追加されたりします。スキルの発現条件はモンスターを倒す、クエストをクリアする、など様々です。

次にアーツですが、アーツは必殺技のようなもので個々の武器によって全く違います。アーツは武器の熟練度と使用者の戦闘スタイルによって異なるものが発現します。またアーツにもレベルがあり、高ければ高い程、威力や攻撃回数も上がっていきます。

武器の熟練度はその武器の扱いの上手さを表します。また、武器の威力も上がります。

最後に、スキルとアーツの使用についてですが、スキルとアーツはHPとは違う目に見えない体力や精神力といったものを消費して発動します。威力の高いもの程、その代償は大きいのでスキルやアーツの乱用はお控え下さい。』


《スキル》

<スキル>

【群の(ハーレムキング)】Lv1

<アーツ>

なし

<熟練度>

拳:Lv1


【群の(ハーレムキング)】ってなんだよ!?


『《ギルド》では所属ギルドと、ギルドメンバーの状態を表示します。また、ギルドメンバーとのメッセージのやりとりを行うことも可能です。

ギルドは町中央にあるギルド本部で作成でき、登録もそこで行われます。

町で一番権力の強いギルドマスターは町で一番規模の大きいギルドのリーダーが成ることとなります。』


《ギルド》

<所属ギルド>

なし

<ギルドメンバー>

なし


だから、ギルドの説明より先に【群の(ハーレムキング)】の説明をしろや!!


『《クエスト》では受理中のクエストとその進行状況の確認ができます。

クエストはギルド本部で受けられます。』


《クエスト》

<受理中クエスト>

なし


『以上でチュートリアルを終了致します。』



モニターが消えた。



「だから【群の(ハーレムキング)】って何なんだよ!!!!」


俺の叫び声に周りが反応したけど周りからの視線なんか気にしてられるか!!

なんだよ【群の(ハーレムキング)】って、どんな効果なんだよ、てかいつ手に入れたの、俺?

ギャルゲーを極めたから?でも俺、三次元の女の子を落としたこと皆無だよ?



っと、そろそろ視線に物理的ダメージを感じてきたな。逃げよう。

という訳で、俺はとりあえずこの場所を離れて人の多そうな広場に行く。

この際、【群の(ハーレムキング)】の解明は後回しだ。とにかく今は仲間を見つけることに専念しよう。

でももしかしたら【群の(ハーレムキング)】っていうくらいだから、その効果で素敵な女の子に出会えるかも!?


その時の俺はそんな幻想を抱きながら、この世界を歩んでいった。











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