第3話 魔法
俺が生まれて8ヶ月が過ぎた。
俺はハイハイを飛ばし、いきなり立ち上がることが出来ていた。
まぁ、要は力の使いよう。
前世で足の使い方を知っていたから、コツを掴むのは容易かった。
今では、支えなしで歩く練習をしている。
さて、8ヶ月も経ったし会話はほぼ完璧だろう。
字もなんとなく理解できた。
そこで、この世界にあるという道具を親に隠れて使い情報を集め、幾つかのことが分かった。
まず、この世界の人々はギフトという特殊能力を全員持っていて、それらは神に与えられたとされている。
そして、その中で平和の為にギフトを使い弱者を守る者のことをヒーローと呼んでいるらしい。
俺の父もギフトで怪獣を倒したということになるからヒーローにあたるだろう。
そして、ギフトを使用するには魔力ではなく単純な体力を消耗するそうだ。
つまり、この世界には魔力が存在しない。
この世界で俺は完全に異物なのだ。
魔力はバレないように使うとしよう。
しかし、今の俺は体内に魔力が僅かにしかないから、スキルを満足に使うことが出来ない。
そこでだ。
俺は魔力が充分に増幅するまでスキルを使わず、魔法を中心に使うようにしようと思う。
まぁ実は前世でもスキルと魔法の両立をしようとする奴は居ないこともなかった。
じゃあなぜそれが定着しなかったか。
それは圧倒的に効率が悪かったからだ。
普通はスキルか魔法どちらかを極める。
そして、どちらも完全に才能に依存するものでは無い。
だから、努力する奴は確実に強くなれた。
しかし、スキルも魔法も極めようとした者が歴史に名を残すことは無かった。
そういう奴らはスキルも魔法も中途半端のままで終わったからだ。
中途半端で終わったスキルと魔法を合わせて戦うよりも、極限まで磨き上げた片方を使った方が圧倒的に強く効率が良かった。
だからいつしかスキルと魔法の両立を目指そうとするものは居なくなったらしい。
だけど俺は違う。
前世で既にスキルを極めた俺は、この世界では魔法に集中出来る。
だから今世で俺は、誰も成しえなかったスキルと魔法の両立を実現しようと思う。
でも、今更魔力が存在しないこの世界でどうやって魔法を学ぶのかって?
作品の都合上使えることにする?
魔法が使えるもう一人の転生者を登場させる?
そんな強引なことをこの作者はしない。
俺には"超記憶"がある。
相棒のマギアが持っていた魔導書なんて嫌という程見てきて、隅々まで記憶している。
まぁ詳細な内容を見るには夢の中で記憶を探る必要があるんだけど…。
まぁそんな感じで、子供の間は魔法を使ってみようと思う。
スキルも魔法も使えたら前世の何倍も強くなることが出来る。
この世界でどれくらい強くなれるか楽しみだ。
今回はめちゃくちゃ短くてすみません。
次回はちゃんとストーリーを進めるので是非見てください。