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第2話 ヒーロー

あれからだいたい1時間くらい経っただろうか。

俺はようやく状況を理解した。

どうやら俺は転生したようだった。


俺自身、転生なんて夢物語ある筈がないと思っていた。

だが、今まさにそれが現実に起こっている。

新しい世界。

新しい親。

新しい友達。

新しい姿。

全てが新鮮で、なんだかとても面白い。

前世の記憶はそのままに、第二の人生を歩み始める。

なんてワクワクする字面だろうか。

これから何をするか想像しただけでも興奮してくる。

変な意味じゃなくてね?


そして、転生したということはさっき俺を抱きかかえた男女は父と母なのだろう。

あの母の容姿だ。

前世は英雄に相応しいなかなかのイケメンだったが、今世にも期待できる。


まだこの世界の言語を理解してはいないが、すぐに俺のスキルで分かるようになるだろう。

というのも、俺は前世で幾つかのスキルをもっていて、元いた世界ではそれを駆使して戦っていた。

だいたい世界の半分くらいの人が持っていただろうか。


スキルを持っていない人は、魔法を学ぶようになっていた。

だからスキルを持つ者は、基本的に魔法が使えない。

マギアも魔法使い側だ。


まぁ魔法の話は置いといて、俺が持っているスキルが


〖パッシブスキル〗

・超記憶

・身体能力強化

・衝撃軽減

・聖剣化

・弱体化無効


〖アクティブスキル〗

・飛剣

反撃(カウンター)

・次元切断

・神速

魔力暴走(オーバードライブ)


こんな感じでなかなかチートで便利な性能になってるだろ?

幸い俺の身体に魔力が灯っているから、スキルはこの世界でも使えそうだ。

魔力量は全盛期に比べて少ないなんてレベルじゃないが…。


問題は、この世界の他の人間が魔力を持って魔法やスキルを行使しているかということだ。

ここは異世界。

俺の世界の常識が通用しなくても、なんらおかしくない。

もし、魔力を持っているのが俺一人だったとしたら下手な真似は出来ない。

研究やら兵器やらに使われるのが容易に想像できる。

確信が持てるまでスキルは使用しないでおこう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺が生まれてから一ヶ月が経過した。

俺の記憶力は常人を超越してるから、この期間に日常会話程度には言語が理解できたと思う。

どうやらここは大和(ヤマト)という国らしい、俺の元いた世界では聞いた事のない国だ。


他に分かったのは、俺の父の名前が(星小路(ほしのこうじ ) 竜哉(たつや))で母が(舞貴(まき))というらしい。

俺の名前は(流聖(りゅうせい))に決まったそうだ。

他にも王子(プリンス)とか英雄(ヒーロー)なんかもあったらしい。

何故かは分からないがなんともむず痒い名前だ。


それはそうと、今日で俺は退院が出来るらしい。

ようやく我が家に行くことが出来るそうだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数時間が経過し、俺は母親に抱きかかえられて病院を出ようとしている。


「リュウ、もうすぐお外ですよ〜。お家に行けますよ〜。」


母が俺に言葉を投げかける。

なんだかとても懐かしい言葉の雰囲気だ。

まるで幼児に戻ったような…

まぁ乳幼児なんだけどさ。


「ほ〜ら。ここが街ですよ〜。」


ウィーン


ガラスが自動で開いた!

てことはこの世界にも魔法みたいなのがあるのか?

母はそのまま歩いて外に出る。

その時、俺の目に映ったのは衝撃の光景だった。


グオォォォ!!


なんと、巨大な怪獣が街で破壊の限りを尽くしていたのだ。

建物は崩壊し、口から放たれる炎は鉄を溶かす勢いだった。

やっぱりこの世界にも魔法があって、モンスターもいるんだな。

少し安心するよ。


「キャー!!!」


「逃げろ!!逃げろ!!!」


「誰かヒーローを呼べ!!!」


皆が街の中を逃げ惑う。

俺はこんな大きさの奴なら腐るほど見てきたから、こんなことでは慌てることもない。

もっとも、今の俺に抵抗する術はないが…。


「怪獣か。リュウ、大丈夫。もうすぐパパが来るから安心して!パパは強いんだから!」


母が誇らしげに自慢する。


『まぁ魔法でもスキルでも使いな。マイファーザーがどれ程のものか見させてもらうとしよう。』


その時、何かが超高速で怪獣に突撃し、そのまま吹き飛ばしてしまう。

それは父だった。

あのいかにも戦えなさそうな風貌の男が、今目の前で怪獣を吹き飛ばしたのだ。

そして、そのまま父は怪獣の腹部目掛け急降下し、そのまま足で大穴を開ける。

怪獣は絶命した。

その出来事は一瞬で、あまり呆気なかった。

俺の父は以外とめちゃくちゃ強いようだ。

そんな父は有名人なのか、民衆は喝采の嵐だ。


いやそんなことより今の技、魔力が使われていなかった。

信じられない。

スキルを使うにも、もちろん魔法だって使用するために魔力を使う。

だが、あんな火力の技を使ったのに魔力が1ミリも感じられなかった。

ありえないことだ。

つまりこの世界では、いや少なくとも俺の父は魔力を使わずに何らかの力によって爆発的なパワーを得ていることになる。

この世界は俺が想像した以上に面白そうだ。


と考えているうちに、父が俺たちに歩み寄ってきた。


「いや〜ごめんごめん。遅くなった?」


「ううん。むしろ結構早かったわね。」


「そう?なら良かったよ。」


この夫婦は仲が良さそうだ。

夫婦円満、羨ましいねぇ〜。


それは置いといて。

これでこの世界への謎が深まった。

まぁ、きっとこれから成長するにつれて色々なことが解るだろう。

俺はまだまだ生後一ヶ月、気楽にやっていこう。

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