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図書委員になって


 翌日、学校に行くと

「おはよ、工藤」

「おはよ小見川」

「あっ、工藤君。おはよ。ねえ早速だけど今日の放課後からいいかな?」

「えっ?」

「どうしたんだ工藤?」

「工藤君、図書委員になってくれるって」

「ちょっと、新垣さん。俺はそんな事言っていない」


 何故か水島さんが寄って来た。

「工藤君、いいじゃない。新垣さんを手伝ってあげなさいよ」

「えーっ、でもなぁ」



「野乃花、どういう事。里奈が工藤君に図書委員を勧めている」

「私も分からない。あっ、もしかして里奈、工藤君が受付の時、図書室に行って終わったら一緒に帰るつもりじゃあ」

「里奈の奴、私達が部活で放課後、工藤君に近付けない事を良い事に自分だけ彼に近付こうとしている。里奈と彼は帰りも同じ方向」

「優子、これは手を打たないと」

「うん」



 ふふっ、優子も野乃花も今頃気が付いたの。遅いわよ。


「工藤君、私からもお願い図書委員になって新垣さんを手伝って」


 おかしい。水島さんどういうつもりだろう。私は、彼が受付をしている時、図書室で待っていて一緒に帰ろうと思っていたのに。まさか同じ考えで。でも手伝って貰いたいのも本当の事。


 予鈴が鳴った。


「工藤君、また放課後にね」

 水島さんが帰って言ったけど…何か怪しい。




 昼休みになり小見川と一緒に学食に行こうとすると緑川さんと門倉さんが近付いて来た。

「工藤君、一緒にお昼食べない」

「俺、小見川と食べるから」

「工藤、気にするな。俺は他の連中と食べるから」

「ごめんね。小見川君」

「いえいえ、お二人さんのご自由に」

 小見川は直ぐに他の男子の所に行ってしまった。


「工藤君、学食行く。いいよ」

「分かった」


 あーぁ、工藤君、あっという間に緑川さんと門倉さんに連れられて行ってしまった。私だって一緒に食べたかったのに。



 俺達は、学食に行くと緑川さんと門倉さんは先にテーブルの方に行った。俺はチケット自販機でB定食を買うとカウンタに並んだ。

この時期は学食が混む。十分位待ってカウンタで受け取ると二人を探した。カウンタから真直ぐ奥の四人座りのテーブルで緑川さんが手を振っている。


「お待たせ」

「うん、いいよいいよ。さっ食べよう」

二人のお弁当はいつも可愛い形で色とりどりのおかずが乗っている。それを横目に見ながらB定食を食べていると


「ねえ、工藤君。GWで会う予定が出来なくなったでしょ。どこかで会えないかな?」

「うーん、来週中間考査だし、それ終わったらいいよ」

「後ね。中間考査の勉強一緒にやらない?」

「誘ってくれるのは嬉しいけど、それは自分でやる」


「そっかぁ。じゃあ考査が終わるの金曜日だから次の土日どうかな?」

「土日?」

「うん、私と野乃花」

「その土曜日って午前講習あるでしょ。次の週も。日曜日は予定入れたくないから土曜日の午後からならいいよ」

「ほんと!ありがとう。それでいいよね野乃花?」

「工藤君と会えるならそれでいい」


「じゃあ、決まりね。後、工藤君図書委員になるの?」

「決めていない。朝の事なら新垣さんと水島さんが勝手に言っているだけだから」

「そうなんだ」

「どうしたの?」

「ううん、何でもない。もし受付する事になったら担当曜日教えて」

「えっ?」

「いいでしょ。友達なんだから」

「それはそうだけど」

 絶対に嫌な予感がする。



私達は学食でお昼を食べ終えて工藤君と別れた後、洗面所で


「野乃花、工藤君の受付担当の時だけ、どちらかが部活を図書室が閉まる時間に合わせて上がればいいわ。里奈の自由にさせる訳には行かない」

「同感ね。それに新垣さん、どうも工藤君を狙っているとしか思えない」

「そうね。気を付けないと」




 放課後、

「ねえ、工藤君」

「分かった。やるよ」

 これ以上まとわりつかれても面倒だ。交代でやれば土曜日に授業が有っても週三日だ。何とかなるだろう。


「ほんと!やったぁ。じゃあ、早速職員室に行って入会届出そう」

 新垣さんが満面の笑みで言って来た。


 俺は新垣さんに案内されて図書委員会担当の先生の所に行くと何で君がって顔をされた。

それを無視して入会届を出すとその足で図書室に行った。既に入口の前では数人の生徒がドアが開くのを待っている。



 新垣さんは急いでドアの鍵を開けると待っていた生徒を入れた。

「工藤君、受付の椅子に座って。色々説明するから」

「分かった」


 俺が座って待っていると水島さんが入って来た。珍しいな。俺をチラッとだけ見ると真ん中のテーブル当たりでこっちが見える椅子に座って本を読み始めた。


「工藤君。教えるね。ここの椅子に座って」

 新垣さんは隣の椅子に座るとファイルを机の引出しから取り出して説明を始めた。



 PC内の図書室管理システムの操作。貸出、返却。図書カードの作成。返却本の書棚への返却。書棚の本のカテゴライズのされ方。

等々同時に一杯説明されたので、説明が終わりになった頃には、俺の頭の中は満杯になっていた。確かにこれを一人で毎日こなすのはきつい。

 更に期首の選書の元になる生徒達からの要望のまとめや予算取り等も計画から行わなければいけないらしい。とても一人でやれる作業ではない。


「大体、こんなところ。いきなり全部覚えるのは大変だから最初の一週間位は、一緒に受付しましょ。覚えてきたら順次交代制に移るという事で」

「分かりました。覚えるの大変そう」

「工藤君なら簡単だよ」

 その根拠何処にあるの?


「じゃあ、今日は私が受付するから横で見ていて」

「分かった」



 なるほど、これで工藤君の動きは分かった。今週一杯は新垣さんと一緒だな。来週は中間考査があるからその後という事か。今日ここに来た甲斐は有ったな。



 あれっ、水島さんがいつの間にかいなくなっている。



 それから、この週一杯は新垣さんと一緒にずっと受付の仕事を覚える為に図書室に居た。中間考査が近いから本当は勉強したいけど、仕方ない部屋でやるしかないな。


 中間考査は、翌週の火曜日から金曜日まで行われた。全部解答はしたけど、ちょっと自信のない問題もあった。


―――――


投稿意欲につながるので少しでも面白そうだな思いましたら、★★★★★頂けると嬉しいです。それ無理と思いましたらせめて★か★★でも良いです。ご評価頂けると嬉しいです。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


 


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