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二年生になって


ここからは第二章という感じです。

お楽しみ下さい。


―――――


 四月六日。私立松ヶ丘高校の始業式だ。朝食を終えた俺は、クリーニングを終えている制服を洋服ダンスから出して着替えた後、新しい上履きを袋に入れ、それをスクールバックの中に入れると部屋を出た。


 最寄りの駅まで五分。電車に乗って二駅五分。徒歩通学者を除けばとても近い方だと思う。

 学校のある駅の改札を出て、待っている人も居ない事にホッとしながら学校に向かう。


 下駄箱で上履きに履き替えてから階段横にある掲示板をちょっとだけ見る。2Aの所に俺の名前が有る事を確認すると直ぐに階段を登った。二階に上がってすぐ右にあるのが2Aの教室だ。


 教室に入ると、何人かの見知った顔が居た。小見川と一条だ。俺は直ぐに小見川の所に行くと

「工藤、おはよ。教卓の上の紙に自分の席が書いて有る」

「分かった」


 俺がそれを見ると廊下側から二列目。前から三番目だ。右隣りが一条。小見川は廊下側の一列目の後ろから二番目。。


 まあ、仕方ない。どうせ席替えやるだろうからと考えていると渡辺美月が入って来た。あいつは自分の席を見つけると窓際の後ろの方に行った。良かった。あいつと席が近いなんてありえない。

 更に橋本心菜が入って来た。この子も窓側の方だ。俺から見れば背中の方になるので助かる。



 その内全員が教室に入った様で、皆がガヤガヤしていると担任の先生が入って来た。

「「おおーっ!」」


 男子が喜んでいる。この高校一番人気の女性の先生だ。肩までの黒い髪の毛。赤いフレームの眼鏡を掛けているが鼻はスッとてしており細面、眼鏡を掛けていても一目で美人と分かる。スレンダーな体に似合わないボリュームを胸に付けている。今日は白のスーツで決めていた。


 先生は教壇に立つと

「私が、一年間君達の担任になる桜庭清香さくらばきよかです。早速ですが体育館で始業式を行うので廊下に出て下さい」


 皆でガヤガヤしながら廊下に出ると体育館に向かった。



 長ーい。校長先生の大事なお話の後、各学年主任から連絡事項があり、最後に生徒会長が壇上に登って挨拶を始めた。


去年の生徒会長も人気が有ったが、今年も凄い。名前は望月奈緒もちづきなおというらしい。腰まである艶やかな黒髪、綺麗な顔立ちが特徴だ。何か見るからにお嬢様然としているのは気の所為か。




生徒会長の挨拶も終わると俺達は教室に戻った。隣に座る一条と駄弁っていると担任が入って来た。


「皆さん、改めて自己紹介するわね。私の名前は桜庭清香。英コミⅡを担当しているわ。宜しくね。早速だけど席替えしようか。この箱の中に席順を書いた札が入っているから廊下側一番の人から引いて」


 そう言うと自分は窓側に置いてあるパイプ椅子に座った。足を組むだけでドキッとする。



 俺の引く順番は直ぐに来た。前に出て箱の中に手を入れた時、気の所為か先生が俺を睨んだ気がした。そんな事無いか。


 席に戻り紙を広げると、廊下側一番後ろから二番目。小見川が座っていた席だ。悪くない席だ。本当は窓際が良いんだが。



「はい、全員引き終わりましたね。では移動して」

 今日は授業も無い為、身軽に移動できる。体一つで小見川の所に行くとなんと小見川は俺の左斜め前だ。良かった。


「小見川、お前が近くで良かったよ」

「俺もだ工藤。今年も宜しくな」

「もちろんだ」


 小見川と話していると俺の左隣に女子がやって来た。

「工藤君」

「えっ?!」


 誰だろうと思って顔を上げるとどこかで見た様な。

「あっ、図書室の」

「ふふっ、覚えてくれていたんだ。図書室の受付係をやっている新垣美優あらがきみゆよ。一年間宜しく」

「よ、よろしく」

 新垣さんは、腰までの艶やかな黒髪、切れ長の大きな目にスッとした鼻、プリンとした下唇が可愛く、細面の綺麗な顔をしている。


「お、俺小見川です。宜しく新垣さん」

「宜しく、小見川君」


「小見川、お前新垣さん知っているの?」

「えっ、工藤、新垣さんの事、本当に知らないの?」

「……………」

 知らないんだから聞いたんだろう。



 俺は小見川の言った事が理解出来ないまま、周りを見ると美月、心菜、緑川さん、門倉さん、水島さんは、全体的に散らばっていた。でも俺の近くには居ない。ホッとしていると



「はい、移動したわね。じゃあ、クラス委員決めて。自薦でも他薦でも良いわよ」

 一年の時は、先生からの指名で決められていたが、二年になると投票になるみたいだ。


シーン。

誰も手を上げないし、推薦もしない。まあみんなやりたくないよな。


「仕方ないわね。先生が決めてもいいかしら」


シーン。


「生徒会役員や部活に入っていない人から選ぶけど良いかな?」


 何人かがブーイングしている。

「意見あるなら、誰か推薦しなさい。それともじゃんけんにする?」


シーン。


「では、運動系と文化系、生徒会役員していない人、それに管理部員、園芸と図書委員も除くわ、それ以外の人、前に出て」


 俺は仕方なく前に出ると、俺を含めて男子は五人、女子は七人。七人の中に美月、心菜、水島さんが含まれていた。冗談じゃない。俺絶対に負けないから。


 最初はグー。じゃんけんポン。


 何回かのじゃんけんでなんと男子一人、女子一人が負けた。俺は勝ったけど、女子は水島さんだ。


「決まった様ね。じゃあ、クラス委員前に出て、他の係も決めてね」




 一通り決め終わる。


「では、この体制で一年行くわね。皆さん宜しく。今日はこれで終わりです。クラス役員と係になった人は職員室に一緒に来て。色々説明有るから」



先生の最後の連絡事項も終わり、無事になんの役員にもならなかった俺は、バッグを持って帰ろうとすると隣に座る新垣さんが


「工藤君、ちょっと良いかな?」

「何ですか?」

「君、なんの係にもならなかったよね。図書委員やって見る気ない?」

「俺が?」

「うん、今年三年生一人でさ。私が二年で一人なの。この仕事人気無くてね。来週月曜の説明会で勧誘のスピーチもするし図書オリの時も説明するけど。見込み薄いの。工藤君、図書室良く来るでしょ。だからどうかなと思って」

「…うーん、ちょっと図書委員は」

「そうか、そうだよね。いきなり声掛けてごめんね」


 そう言うと新垣さんは、バッグを持って教室を出て行った。それを見て俺も帰ろうとすると視線を感じた。

 はぁーっ。一年の時と同じじゃないか。今日は図書室開いていないし。俺は視線を無視して逃げる様に教室を出た。




 私、門倉野乃花。優子や里奈と一緒に工藤君と同じクラスになった。今日は来週月曜のの準備が有るから急いで部活に行かないといけない。優子は吹奏楽部に行ったし、里奈は運悪く?クラス委員になってしまって職員室に行っている。


 私も直ぐに行きたいけど、渡辺さんと心菜の行動が気になって、足を止めてしまった。でも二人は、彼に近付こうとしないで遠目で見ていただけだ。これからもこれなら良いんだけど。


―――――


投稿意欲につながるので少しでも面白そうだな思いましたら、★★★★★頂けると嬉しいです。それ無理と思いましたらせめて★か★★でも良いです。ご評価頂けると嬉しいです。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


 


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