平穏ならざる日々
緑川さん達の約束は実行された。但し、絶対に俺の部屋には入らない事を条件にした。だって入ったら、俺の部屋なのに何故か俺が不利になる気がしたから。
三人は、橋本さんは入れたのに条件が違うとか狡いとか言っていたけど、それならこの約束はしないと強く言ったら引いてくれた。
それでも橋本さんは、絶対にあの三人とはしないでねと何回も俺に念を押して来た。まあそうだよね。
そして三人とそれぞれデートした後、最後に誰とお付き合いするかのしないのかを三人にメールする事にした。
それまでは橋本さんとは水曜日だけ俺の部屋に内緒で来ることを許した。
私、緑川優子。工藤君が私と野乃花、それに里奈とデートする事を約束してくれた。但し彼の部屋には行けない。
それは私達の一番強力な武器を塞がれてしまった事になる。当然ラブホなんて行った事無いし。でもプールには行っている。
つまり野乃花と里奈は女の武器の一部を既に有効化した訳だ。私だけが何もしていない。だから如何に自分の魅力を彼にアピールできるか考えた。
そう、彼の部屋には行かないけど、私の部屋に呼んではいけないという約束はしていない。この手は多分あの二人も使う筈。こうなったら何が何でも工藤君を私の彼にして見せる。誰が一番先に彼を誘うかだ。
そこで三人で…じゃんけんで決めた。結局私は最後になった。言い出しっぺって昔から負けるのよね。
確か今日は水島さんが会っている日。あの子は経験者だけに侮れない。
「工藤君、もう映画もお昼も済んだし、私の部屋でお話でもしない?」
「でもそれって…」
「ふふっ、怖いの?大丈夫だよ。それに家族いるから」
「いやいやその方が余程不味いよ」
「なんで、だって工藤君安心でしょ」
水島さんの家のある駅は俺のマンションのある駅から五つ目。俺の実家の一つ先だ。門倉さんが実家の一つ前。これって何かの縁?
彼女の家のある駅に着いた。この辺は、高級住宅街が立ち並ぶ地域だ。彼女に付いて歩く事五分。
「えっ、ここ?」
めちゃ大きな家だった。俺の家も大きいが水島さんの家も大きかった。
「うん、周りも皆そうでしょ」
周りを見ると確かに皆大きな立派な家だ。
「あの、水島さんのご両親って?」
「ああ、お父様は宝石商を商いにしている。もう三代目。結構歴史あって、宮内庁にも納めているのよ」
なんて事だ。とんだお嬢様だな。
車止めを抜けて玄関に入る前に初老のご婦人に会った。
「お嬢様、お帰りなさいませ。お客様ですか?」
「うん、友達の工藤君。私の部屋に居るから何もしなくて良いわよ」
「畏まりました」
「行こうか工藤君」
なんか学校にいる水島さんと印象が違う。
部屋に入ると俺の実家の自分の部屋と同じくらいの大きさだった。ピンクと白で統一された綺麗な部屋。
「工藤君、座って。ベッドに腰掛けて良いよ。狭いから」
「全然狭くないんだけど」
「狭いんだから」
そう言って強引に俺をベッドの縁に座らせた。
「工藤君、やっと二人きりになれたね。どうする?」
「どうするって、何?」
「うーん、もう一度私の胸見る」
「えっ、いいです」
「いいですって事は見たいのね」
「そういう意味では」
水島さんはあっという間にワンピースの後ろホックを外してジッパーを下げるとそのままブラに手を掛けた。ワンピースは脱げている。
「ちょ、ちょっと待って」
「何を待つの?ここには私とあなたしかいないわ」
「でも家族が」
「あっ、さっきみんな用事が有るって言って外出したみたい」
「えっ?」
ブラを自分で取ってしまった。
「どうかな。心菜の様に大きくないし、野乃花の様に綺麗な形していないけど、それでも女の子の胸よ。触ってみる?」
「け、結構です」
はっきり言ってメンタル的に厳しい。こんな格好をこんなに可愛い子に見せられたら我慢の限界まで直ぐに届いてしまう。
「ふふっ、顔が真っ赤だよ」
「赤くさせているくせに」
「じゃあ、そのまま来て。それとも私が行く」
「駄目です。俺は水島さんを抱く訳には行きません」
「なんで?別にここで私を抱いても誰にも言わなければそれで済むわ。それともこんなに小さな胸の女の子なんて抱く価値も無いの?」
「そんな事は言っていません」
「じゃあ、私から」
「うわっ」
水島さんが、ブラを外してワンピースも脱いだ格好で俺に被さって来た。
「や、止めて下さい」
「ふふっ、もしこの格好で私が助けてって大きな声を出したらどうなると思う?」
「そ、それは」
「ねえ、抱いたからって付き合えとは言わないわ。一度でいいから工藤君に抱かれてみたいの」
「…………」
嵌められた。
ふふっ、工藤君って本当に全然知らないんだ。心菜これじゃあ、満足できないんじゃないのかな。この子は優良物件。弘樹の件は一時保留にして付き合おうと思ったけど、今はいいか。多分、心菜とはそんなに時間を置かずして別れるはず。
優子と、野乃花はこんな事する勇気なんかない。だって彼女達未経験者なんだから。
でも、私も経験少な目の雰囲気出さないと工藤君に飽きられてしまう。私が彼の仕草に油断していると
あっ、えっ、そ、そんな。
水島さんもっと知っているのかと思ったけど、やっぱり経験少なかったのかな。何回もいっていた様な。
今、目を閉じているけど、本当に可愛いくて綺麗な顔立ち。スタイルはちょっと幼児体系だけど、とても素敵だ。橋本さんとはまた違う感じ。
でももうこれっきり。俺は橋本さんがいい。
あっ、相手が経験少ないと思って油断していた。あんなに行かされるなんて。そしてしっかりと寝てしまったようだ。まさかあんな事になるなんて。
私が目を覚ますと彼は起きていた。
「ふふっ、工藤君しちゃったね。でもこれしたからって気にしなくて良いよ。私がしたかったから。だからこれはノーカウントね」
水島さんの言っている意味が分かった様な、分からない様な。まあそれでいいならいいや。
俺は次の日曜日、門倉さんとも会った。彼女は映画、食事、公園でのお話だけをして別れた。橋本さんの事が無かったら多分、この子を選んじゃないのかなと思う。勿論お胸さんの事はノーカウントだけど。でも綺麗だったな。
工藤君、今日は門倉さんと会っている。彼女は可愛くてスタイルも良くて頭もいい。心配で仕方ない。でもあれをする事は無いと思う。だって彼女は明らかに未経験者。そんな子がいきなりするのはハードルが高すぎる。だから安心。でも心に残らなければいいんだけど。来週の日曜日は緑川さんか、彼女も強敵だな。
工藤君と毎週水曜日は彼の部屋でしているけど、何か物足りない。もうあいつとなんか会っていないから仕方ないけど、今度工藤君にお願いしてみようかな。
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