前田の言った事は本当だった
翌日、俺は教室に入るといつもの様に小見川が挨拶をして来た。
「工藤、おはよ」
「おはよ、小見川」
俺が小見川と話をしていると緑川さん、門倉さん、水島さんが寄って来た。
「ねえ、工藤君。ちょっといい」
緑川さんが廊下の方を見た。
三人に付いて廊下に出ると
「工藤君、昨日里奈から聞いたんだけど、心菜と付き合っているって本当?」
「正式にはまだ付き合っていない」
「「「えっ?!」」」
「どういう事、工藤君。昨日心菜と付き合っているって言ったじゃない」
「あれは、あんな状況だったから。でも橋本さんとは正式に付き合おうと思っている」
「じゃあ、じゃあ、まだ間に合うって事。私達が工藤君に告白しても」
「あの、それって…」
「優子、もう遅いみたいだよ。里奈もそうだけど、私も工藤君には告白しているの」
「えっ、いつなの野乃花」
「プールの時、彼に胸見られちゃって。その後二人でデートした時、告白した」
「えーっ、私もだよ野乃花」
「里奈も?!」
「それって私だけ工藤君に見せて無いの。もう心菜のも見ているんだろうし」
「あの、そういう話はここでは」
「工藤君、私の胸見たくないの?」
「あの、そういう話ではないのでは」
予鈴が鳴ってしまった。
「工藤君、この話は、また昼休みに!」
あーっ、三人共席に戻ってしまったよ。俺って女性のお胸運が悪いのかな、いや良いのかな?
周りを見ると女子はあきれ顔、男子は嫉妬、妬みの凄い視線を俺に浴びせている。三人があんな事言うから。俺どうすればいいんだ。
昼休みになり、また三人に囲まれてしまった。購買で買った菓子パンを開けようとすると
「ねえ、工藤君。裏庭で食べない?朝の話をするのにここでは」
「えっ、あの話は、もう決着が…」
「「「着いていない!」」」
「はい」
俺って弱いな。橋本さんが怒っている。ごめん。
裏庭に着いたので皆でベンチに座りながら食べようとすると緑川さんが、
「ねえ、工藤君、まだ心菜に告白していなんでしょ。だったら私達の中から選ぶ時間まだ有るよね。恥ずかしいけど、私の胸も見せても良いよ」
「いやそんな話では」
「だって、工藤君、心菜の胸見ているんでしょ。野乃花の胸も里奈の胸も。だったら私のだって」
「いや、二人は事故だったので」
門倉さんが割込んで来た。
「でもあの時言ったよね。付き合いたいって」
「あのそんなにはっきりは」
「でも、その後でしょ、心菜としたのは。狡いよ工藤君」
今度は緑川さんが、
「私だってあの時言ったのよ。君と付き合いたいって。でも電車の音で消されちゃったけど」
「それは聞かなかったという事で」
今度は水島さんだ。
「ねえ、心菜と付き合っていないんだったら、この三人とも別々でもう一度会って、そこで心菜か私達の誰かと付き合うか決めてよ。
もうこの三人の中では誰と工藤君が付き合っても恨みっこ無しで行こうと約束しているんだから」
「えっ、そんな話になっているの?」
「「「なっているの!」」」
緑川さんが
「ねえ、工藤君。心菜にはチャンスあげて私達にはチャンスくれないって、それは無いよ。人類皆平等でしょ」
意味分からない?
「あの、皆さん、早く食べないとお昼休みの時間が」
「そうね。取敢えず食べようか」
「「うん」」
食べながらでも三人は色々話してくる。ちょっと参った。皆が食べ終わると緑川さんが
「ねえ工藤君。この三人ともう一度別々に会って。それでも心菜が良いって言うなら、一時諦めるから」
「一時…なの?」
「うん、一時」
それってどう考えればいいんだ。
「分かった。とにかく考えさせて」
「絶対いい返事してね」
「約束出来ないけど」
「約束して」
おかしいな。体育祭前までは、何も無かったのにどうしてこうなった。前田が言っていたあいつらしつこいぞとはこの事か。しかしここまでとは。
俺が教室に戻って自分の席に着くと橋本さんが寄って来た。
「工藤君、今日は一緒に帰ろ」
「いいけど」
あっ、三人が寄って来た。緑川さんが
「心菜、抜け駆けは駄目って言ったでしょ。約束守らないなら、私達も黙っていないから」
「えーっ!そんなぁ」
不味い、不味い。絶対に不味い。三人共私には持っていないものが多い。顔だってスタイルだって頭だってみんな私より良い。私がこの子達より優位なのは胸だけなのに。
「とにかく、当分工藤君とは、会わないで!」
「でもう」
予鈴が鳴り四人が自分の席に戻ると小見川が
「工藤、いよいよ本格的になったな。進捗教えろよ」
「進捗聞きたいなら俺を助けろ」
「お前助けたら面白くなくなる。がんばれ工藤」
「お前なあ」
その時、数学の先生が入って来た。
参ったなあ、どうすればいいんだ。俺は教科書を見る振りをして考え込んでいると小見川が突いて来る、そっちを見ると
「おい、先生から指されているって」
「えっ?!」
「工藤、答えて見ろ」
「小見川何の質問だ?」
「黒板の式だよ」
「工藤、今授業中だぞ。聞いてなかったのか?」
「すみません」
「後で職員室に来い」
「はい」
教室の皆から笑われてしまった。
授業が終わると急いで職員室に行った。軽くお小言を貰っただけで済んだけど、これも普段の成績のお陰かな。その後教室に戻るとまだ橋本さんが待っていた。一人だ。
「あっ、工藤君」
「橋本さん、待っていたの?」
「うん、一緒に帰りたくて」
「そうか、ありがとう。一緒に帰ろうか」
「うん」
校門を出ると
「ねえ、優子達と何話したの?」
「実は…」
俺は正直にあの三人が行った事を話した。
「えーっ、それ本当にするの?」
「したくないけど。本当は今回の件が無ければ橋本さんに告白して終りのはずだったんだけど」
「えっ!そうなの。だったら断ってよ」
「やっぱりそうだよな」
「やだよ、私。工藤君があの三人とするなんて。絶対に嫌だからね」
「いや、それは流石にしないよ」
「でも保証出来ないでしょ。里奈なんて一番危ないんだから」
「でも水島さんって彼いるんじゃないの。本人は違うって言っていたけど?」
「それは知らないけど」
「とにかく絶対に断って。それと今から行っていい?」
「えっ?」
「だって、悔しいんだもの。今日だって全然話せなかったし。お昼だって一緒に食べれないし」
「分かった。でも長くは居れないよ。遅くなると橋本さんの家族も心配するから」
「うん、分かっている」
橋本さんは俺の部屋に来たら、直ぐに抱き着いて来て、二回ほどした。もっとって言っていたけど、説得して送って行った。
俺は自分の部屋に帰るとバッグからスマホを取出した。
「えっ?!」
何故か、緑川さん、門倉さんそれに水島さんから連絡が入っていた。
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