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文化祭 二日目


 今日は、文化祭二日目。初日、予定より売上げが伸びたので、午後の部の具材が足りなくなりそうという事で、午前中に取りに行く事になった。


 スーパーの子と文化祭委員それに俺と小見川だ。何故俺と小見川になったかと言うと前日担当が終わった男だけでじゃんけんをしたところ運良く?小見川と俺になった。


 水島さんには、そういう訳で午前中回れない事になりごめんなさいをした。彼女とても残念がっていたけど仕方がない。


 本当は車でも有ればいいのだけど、スーパーの方で仕入れで使うからという事で、男子四人で受け取りに行った。


男子四人いれば、結構な量を持って来る事が出来る。朝九時にはスーパーに行って野菜を段ボールに入れ、肉は調理後、冷凍パックに保冷剤と一緒に入れて貰った。


学校に着くと午前十一時。急いで倉庫に入れてから教室に戻ると数人の人間が駄弁っているだけだ。

「工藤、昼は一緒にするか?」

「そうだな。うちのクラスの売上貢献も有るから一番は焼きそばだな」



 小見川と話をしていると水島さんが教室に入って来た。他の子と一緒だ。俺と視線が合うとその子達と何か喋った後、俺達の所にやって来た。


「ねえ、工藤君。お昼だけでも一緒に出来ないかな?」

「えっ?!」

 何故か小見川がそっぽを向いて笑いを堪えている。


「ごめん。俺、昼は小見川と食べる事にしているんだ」

「そうなの」

 寂しそうな顔をすると


「工藤、俺は構わないよ。他の奴らと食べるからさ」

「おい、小見川。俺との約束は…」

「いやいや、豆腐の角に頭ぶつけて死にたくないから」

「ごめんね。小見川君」

「全然構わないさ。はーーれーむーー」

 変な事を口にしながら他の連中の所に行ってしまった。仕方ないか。


「ねえ、じゃあ、一クラスでも一緒に見て回ろ。その後、昼食という事で」

「あっ、でも俺、十二時には約束有るから。それまでだよ」

「うん」

 誰かと約束しているのかな。優子と野乃花は部活で演目有るし、まさか心菜。


 私は工藤君と一緒に3Aの教室で模擬店をしているというので行ってみた。結構並んでいる。

「水島さん、ここで並んでいるとお昼時間も無くなりそうだけどいいの?」

「うーん、そうだね。残念だけど仕方ないか。他を見てみようか」



 結局、郷土研究会という部活でやっているとってもローカルな展示の教室を見てからお昼を食べる事になった。

「ねえ、うちのクラスの売り上げ協力の為に焼きそば買いに行こう」

「良いけど…」

 なんか、とても意味有り気なんだけど。


 ふふっ、これで心菜の反応を見ればいい。もしかしたら工藤君と一緒に午後も回れるかもしれない。



 1Aの模擬店に行くと十人以上の人が並んでいた。外部の人もいるので結構な賑わいだ。

俺達の番が近くになると橋本さんが、盛付けの担当になっている。彼女から焼きそばを渡される人がとても嬉しそうな顔をしていた。


 橋本さんが俺と一緒に水島さんが居る事に一瞬嫌な顔をしたがすぐに普通の顔に戻って、俺達にも対応してくれた。水島さんを睨んでいたけど。



 やっぱり、心菜、工藤君に一番接近している。もしかしたらもう…。不味い、何とかしたいけど今の状況ではどうにもならない。



 俺達はその後、ホットドッグと焼き鳥を買って、飲食エリアのテーブルで食べた。午後十二時まで後、十五分しかない。ちょっと急ぎで食べていると

「工藤君、午後から誰かと回るの?」

「うん、橋本さんと約束している」

「えっ?!」

 思ったより簡単に答えた。という事は、でも。


「ふーん、いいなぁ。私も一緒に回りたかったなぁ」

「午前中、仕込みが入らなければ回れたんだけどね」

「ねえ、明日は片付けの日でしょ。明後日会えないかなぁ?」

「ごめん。用事が入っている」

「そうかぁ」

 間違いなく心菜だ。でもまだ間に合うかもしれない。


 工藤君は食べ終わると

「ごめん水島さん。時間だから行くね。楽しかった」


 それだけ言うと私を置いて行ってしまった。今の段階では私より心菜か。とにかく考えないと。

あの子に取られてたまりますか。私は残りを分別ごみに捨てると教室に戻った。多分いるはず。



 俺は急いで教室に戻ると橋本さんが待っていた。少しご機嫌斜めだ。俺の顔を見ると直ぐに寄って来て


「どこ行ってたの?水島さんと一緒だったよね」

「うん、強引に誘われて、郷土研見た後、一緒にお昼食べた」

「えーっ、私まだ食べていないよ」

「いいよ、これから一緒に食べれば良い」

「でも食べたんでしょ?」

「まだまだ入るから」


 何故か小見川が、前田と田中と一緒にこっちを見てニコニコして何か話している。どう見ても朝からの行動を話のネタにされている様だ。



 俺はもう一度、お昼を橋本さんと食べた後、体育館で演劇部の門倉さんの劇を見た。門倉さんは主役じゃなかったけど、準ヒロインみたいな役でとても光っていた。流石だ。


その後に続く一条と緑川さんの吹奏楽部の演奏も聞いた。ビバルディやガーシュインの聞き心地の良い音楽を演奏して観客から喝采を浴びていた。こちらも流石だ。


だけど…。見ている間、ずっと橋本さんは俺の腕に絡みついて来ていた。お胸様を強烈に感じる。なんか意図的にやっている感じ。だって偶に押し付けて来るんだから。



 その後、昨日見れなかった2Cの教室から見て回ろうという事になったけど、時間がほとんどなく、午後四時を回ってしまったので、教室に戻った。



 半分以上の生徒が戻っていた。少しして全員が戻ると学園祭のクラス委員が

「皆が頑張ってくれたおかげで、凄い売上になった。支払いを引いても結構いけるかもしれない。今から生徒会に報告に行くけど、明日片付け終わったら打ち上げするからな」

「「「「おーっ」」」」


 皆、中々の盛り上がりだ。やはり共同で何かを成し遂げるというのは連帯感を生むから良いのかもしれない。



 その後、担任が来て今日は終了となった。直ぐに緑川さん、門倉さん、水島さんがやって来て水島さんが


「ねえ、工藤君。明日皆で打ち上げになるけど、今日は私達だけで行かない」

「えっ?!いや明日で良いんじゃないか。皆疲れているだろう」

「そんなことないよ。ねえ行こうよ」


 あっ、橋本さんがやって来た。

「三人共、工藤君は疲れているんだから休ませてあげようよ」

「なに、心菜。いつもだったら私達と一緒に工藤君と行こうって人が、急に変わったじゃない」

「何も変わってないよ。ただ工藤君、朝から野菜とか取りに行ったし…」

「心菜、学園祭で工藤君と回れたのは、あなただけよ。だから今日はこの三人で工藤君と打ち上げするの」

「そんなぁ」


「あの三人共、俺今日は帰るから。明日の打ち上げでね」

「えーっ。じゃあ、駅まで一緒」


 何故か緑川さんが、思い切り顔を近づけて言って来た。チラッと見ると小見川が思い切り笑っている。前田と一条それに田中もだ。全く人の気も知らないで。



 俺は仕方なく、駅まで一緒に行くと、緑川さんはそれから徒歩で自分の家に、橋本さんは残念そうな顔で反対方向のホームに行った。残ったのは俺と水島さんと門倉さん。


 三人でホームで電車を待っていると門倉さんが、

「ねえ工藤君。近く会えないかな?」

「私も。工藤君会えないかな?」

「でも、俺用事あるし」

「さっき、文化祭の代休初日は駄目って言ってたよね。二日目は?」

 水島さんが突っ込んできた。


「いや、二日目も、色々やる事有るし」

「ふーん、じゃあ土日は?」

「ちょっと家に帰らないと分からない」

「そっかぁ。じゃあ返事待っているね」

「…………」


 工藤君が電車を降りて行った。

「野乃花、どう見ても心菜と工藤君怪しいよね」

「私もそう思う」

「優子とも相談して三人で対策たてないと。心菜に工藤君を譲る訳には行かないわ」

「取敢えず共同戦線ね」

「うん」

 

―――――


 女の子、恐し!


投稿意欲につながるので少しでも面白そうだな思いましたら、★★★★★頂けると嬉しいです。それ無理と思いましたらせめて★か★★でも良いです。ご評価頂けると嬉しいです。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


 


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