橋本心菜は意識する
昨日、一昨日と橋本さんとしてしまった。俺は初めてで夢中だったけど、彼女は初めてでは無かった。
でもあんなに可愛いんだから、経験有ってもおかしくない。二股掛けられているなら嫌だけど、中学の時付き合った彼とは別れたと言っていた。
それなら何も問題ない。つい笑ってしまったのは、彼女があれを持っていた事だ。最初からその気で来たんだと思うとなんとも言えないが、もう済んだ事。今度は俺が用意しておかないといけないのかな?でもあれって何処で売っているんだ?
一昨日から橋本さんとお付き合いを始めた訳だが、学校では、お試し期間中は黙っている事、学校内でべたべたしないとお願いしたら、彼女から他の女子と話をしても焼餅焼かないから普通に話していいよと言われた。
今日は月曜日、朝教室に入って席に着くと隣の席に座る小見川が、
「おはよ工藤。なんかすっきりしているな。この土日で良い事でも有ったのか?」
「おはよ小見川。別に無いけど」
ちらっと橋本さんを見ると胸元で小さく手を振っている。その姿が可愛くて俺もニコッと笑ってしまった。
「どうした工藤。急ににやけて」
「いや、顔が痒かっただけだ。日焼けで顔の皮がむけない様に気を付けているけどムズムズする」
「ふーん、取敢えず信じるよ」
あっ、緑川さんと門倉さんが近付いて来た。
「ねえ、工藤君、お昼一緒に食べられないかな?」
「俺、学食だけど」
「いいわよ。別に」
「じゃあ、お昼に」
二人が自分の席に戻って行くとちょっと視線を感じたのでその方向を見ると橋本さんが悔しそうな顔をしていた。そうか、明日から気を付けるか。
悔しい、つい意識して工藤君の傍に行かなかったら優子と野乃花が彼とお昼を食べる約束をしている。本当は今日からでも一緒にお昼食べたかったのに。
でもここで割込んではいけないよね。私が他の女の子と話していいて言ったんだから。でも帰りは一緒。がまん、がまん。
お昼休みになり、小見川を誘ったが遠慮しておくと言ってサッと教室を出て行った。直ぐに緑川さんと門倉さんが寄って来た。
「工藤君、行こうか」
「うん」
学食まで行くと二人はお弁当を持っているので、先に座って貰う事にした。俺は食券自販機の傍に置いてあるサンプルを見るとB定食は鶏ももの甘辛煮定食。今日も文句なくB定食を選んでカウンタに並ぶと二人を探した。
カウンタから見て左奥の四人掛けテーブルに座っている。目が合うと門倉さんが手を振って来た。
俺の順番になりカウンタでB定食を受け取ると二人の待つテーブルに行った。何となく周りに男子が多いのは気の所為か?
「待たせた」
「そんなことないよ。それより食べようか」
二人のお弁当箱が開かれると緑川さんは蛸さんウィンナーや卵焼き、野菜がしっかり入ったお弁当、門倉さんは焼いた鮭を大振りでほぐした奴と卵焼き、ひじきとかも入っている。二人り共可愛いお弁当箱だ。
「そう言えば、工藤君とお昼食べるの初めてだね」
「そうだっけ?」
「そうだよ。いつも小見川君と一緒じゃない」
「まあ、そうか」
半分位食べ進んだところで緑川さんが聞いて来た。
「ねえ、工藤君、夏休み私や野乃花、それに里奈と心菜とプールに行ったでしょ。どうだった?」
「どうだったと言われても」
俺が黙っていると門倉さんが
「例えばぁ、誰とお付き合いしてみたいとか?」
「それはあれだけじゃ判断できないよ。みんな可愛かったし、素敵だったし。それに恥ずかしかったし」
「そうかぁ。じゃあ、今度は、プール以外で会って見ない?」
工藤君にはもう告白してある。この子なら安心してお付き合いできる。だから何としても攻めたい。それに見られちゃったし。
「うーん、止めとく。俺、皆と友達で居るのはとても嬉しいけど、誰かと固定してお付き合いするって言うのはちょっと」
「別に誰と付き合ったからってその子だけにこだわる事ないよ。例えば私と工藤君が付き合っても優子と縁が切れる訳じゃないし。ねえ優子」
「野乃花、それは私も同じ。私が工藤君とお付き合いしても野乃花はずっと仲の良い友達だから」
なんか水面下で争っている様な。
「じゃあ、工藤君、私と優子。また別々に遊園地に行くってどうかな?」
「えっ!いやそれは、ちょっと」
いくら学校では他の子と話しても良いと言われても、流石に休日に橋本さん以外の女の子と遊園地に行く訳には行かない。
「あの、二人共、夏休みも終わったばかりだし直ぐに文化祭だから、もっと時間開けてからじゃ駄目かな?」
「そうか文化祭か。じゃあ時間有る時一緒に」
「野乃花、抜け駆けは駄目。私も一緒」
「あははっ、その時になったら考えよ」
俺達は、食べながら話している内に時間がだいぶ過ぎてしまったようだ。周りの生徒も少なくなっている。
「そろそろ、教室に戻ろうか」
「そうだね」
「うん、戻ろう」
学食を出ると二人は俺と別れてどこかに行った。まあ女の子だから当然の事をしに行くんだろう。
俺もサッと用を済ますと教室に戻った。ちょっと橋本さんが心配。
あっ、工藤君が戻って来た。どんな話をしたんだろう。もう私とはお付き合いするって決めたから変な話にはなっていないと思うけど、やっぱり心配、なんかもやもやする。帰りに聞いてみよう。
私、水島里奈。工藤君が戻ってきた後、優子と野乃花が戻って来た。三人で学食に行った様だけど、何を話ししていたかは分かる。当然夏休みのプールの事だ。
プールだけだったら、私もあの三人には負けない。胸まで見られてしまったし。でも私は三回も失態を犯してしまった。最初はアウトレットで会った中学時代付き合っていた男加藤誠司と会ってしまった。
そして二回目は、宇田川弘樹とした後で食事に行く時にエスカレータの前で会った。そして最悪なのは三回目。橋本さんと工藤君が一緒の時に会って、その時弘樹が余計な事を工藤君に言ってしまった。
その日の内に言い訳をして、誤魔化したつもりだけけど、二学期になったら会ってくれると約束してくれた。でもどうみても口先だけ。
心菜は経験者だけど上手く誤魔化している。優子と野乃花は彼を作った事も無い。そういう意味では私が一番不利な位置。あんなに優良物件なのに逃す手はない。
だけど今、彼に近付いたらかえって引かれてしまう。ここは我慢するしかない。でも悔しい、なんであんな簡単なミスをしてしまったのか。弘樹の事は何とか綺麗にしてその上で工藤君にもう一度アタックするしかない。
放課後になり、私は他の子達が工藤君の傍に行く前に行った。
「工藤君帰ろ」
「うん」
「工藤、ハーレムはまだ健在みたいだな。進捗教えろよ」
「そんな事無いって」
「いやいや、その言葉は無理無理、誰も信じない。じゃあ、また明日」
小見川の奴好きな事言って教室を出ていったよ。あいつなら彼女位で出来るだろうに。
「工藤君?」
「何緑川さん?」
「一緒に帰らない?」
「ごめん、橋本さんと二人で帰る約束しているんだ」
「そうかぁ。じゃあまた今度ね」
良かった、工藤君、はっきり私と二人で帰るって言ってくれた。やっぱりお昼の件は聞かなくても良いかな。
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