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空手の夏合宿の後で


 この前、門倉野乃花さんと一緒にプールに行った時、彼女のナマお胸を見てしまった。それが中々目の前から離れない。

 特にベッドに入ると何故か頭の中に出て来てしまう。俺も健全な男子高校生。仕方なく自分で…早く頭から消したい。


 そんな悩みも薄れて来た四日後、空手を習っている道場で年に一回のイベント、夏合宿がある。

毎年、海のある街の体育館の一部を借りて稽古を行ったり、海岸で鍛錬と称して水泳をしたり、宿泊所になっている民宿で、皆でお布団を敷いて寝るとか、どちらかと言うと合宿に名前を借りた海水浴旅行という感もある三泊四日のイベントだ。


これを俺は毎年楽しみにしている。今年も二十人を超える参加者有った。もちろん女子もいるので部屋は別。まあそれに怖いお姉さんと女の子だから変な気を起こす奴もいない。


 移動は電車。東京駅に集まり、皆で外房の町へ行く。電車の中でもワイワイガヤガヤだ。

東京駅から特急で一時間半位。御宿という町だ。毎年来ている。白い砂浜が二キロ位あって、皆で走っている。



 駅から歩いて十五分位の民宿に着くと直ぐに着替えて体育館に行く。柔軟体操を行った後、型の稽古、組手、乱取りを三日間でこなしていく。


 起床は早く午前六時に起床して朝食後、体育館で準備運動の後、稽古。午後十二時に民宿に帰って昼食の後、浜辺で鍛錬という名前の水泳を皆で並んで泳いだりする。当然浜辺では砂だらけだ。

 夕食後、その日の反省会をして、午後十時に消灯という健全でとても楽しい合宿。


 だからあっという間に終わってしまった。スポーツバッグが洗濯物で一杯の俺は、マンションに帰り、洗濯物を洗濯機にぶち込むと、リビングのソファに座って、電源を切っていたスマホをオンにする。…と


 えっ!メールの量が凄い。橋本さん、緑川さん、門倉さん、水島さんからだ。とんでもない量だ。

 でも時間有るから下から見て行くと大体みんな同じで


『緑川です。お話したいです。会いたいです』

『橋本です。会いたいです。二十三日の予定も話したい』

『門倉です。電源オフの様ですね。オンしたらメールください。お話したい。会いたい』

『水島です。二十一日プール楽しみにしています。メールくれると嬉しい』


 仕方なく一人ずつに返信したけど、面倒なので内容は同じにした。

『今、空手の夏合宿で帰って来た所です。疲れているので今日、明日は一人で静かにしています』


 全員に送り終わると冷蔵庫の中を見た。ジュース以外何も入っていない。合宿に行くからと空にして行ったんだっけ。今日の夕飯分も何もない。駅前のスーパーでも行くか。


 俺は洗濯機がきちんと動いているか確認してから駅前のスーパーに出かけた。ポケットにスマホと財布、それにエコバッグ持って靴を履いているとポケットの中のスマホが震えた。

画面を見ると橋本さんだ。電話なので画面をタップすると


『工藤君?橋本です。やっと話せた』

 さっき疲れたから一人で静かにしたいってメール送ったのに!


『橋本さん、工藤です。何か用事かな?』

『声を聞きたくなって。それに二十三日会う約束しているからその話もしたくて』

『うん、分かった。今から買い物に行くから帰って来てからで良いかな?』

『あっ、ごめん。それでいい。ところでもし、工藤君が良いって言うなら今からご飯作りに行くよ』

『流石にそれはいいよ。出かけるから、また後でね』


 俺はそう言うと電話を切った。この子ちょっと積極的すぎるな。あまりこういう子は苦手なんだけど。


 そしてスーパーまで歩いている内に今度は、門倉さんから掛かって来た。また仕方なしに出ると


『工藤君、疲れている所ごめんね。今話せるかな?』

『今、スーパーへ買い出しに行く途中なんだ。だからマンションに帰ってからなら、いいよ』

『分かった。じゃあまた後でね』


 門倉さんの方から切った。本当は電話して欲しくなかったけど、気遣いが見えるから話していても楽だ。あっ、いけない。忘れていた事を思い出した。早く忘れよ。




 俺は、一週間分の買い物が終わるとマンションに戻った。ふと見ると結構埃が溜まっている。ここ一週間掃除してなかったな。今からするか。洗濯機まだ動いているし。


 橋本さんと門倉さんから電話が有った事を忘れて掃除をしているとテーブルの上に置いてあったスマホが鳴っている。

画面を見ると橋本さんだ。はっきり言って出たくない。そのまま無視して掃除をしていると切れた。



 キッチン、ダイニングリビングの掃除が終わってから洗濯の終わった洗濯機から合宿で使っていた洋服を取り出すとベランダにある物干しとハンガーに掛けた。

 

少し疲れた。合宿から帰って来たばかりだからな。

ソファで寛いでいるとまたスマホが鳴った。画面を見ると門倉さんだ。


『工藤です』

『門倉です。さっきは買い物中に掛けてごめんね。もうマンションに着いたかなと思って電話したんだけど話せるかな?』

『いいですよ。今掃除も洗濯も終わったから』

『わーっ凄い。本当に一人暮らししている感、満載だね。大変でしょ』

『慣れればそうでもないよ』


『それと空手の合宿お疲れ様。こっちの道場には今度いつ来るの?もし出来れば終わった後会いたいな』

『今日帰って来たばかりだから。道場も三日間休み。稽古も強制じゃないから好きな時に行く感じ。だからいつ行くって言われても決まっていないんだ』

『そっかぁ。じゃあ稽古の後じゃなくて…。会えないかな?私工藤君に会いたい』

 うーん、どうしようかな。二十一日は水島さんとプールだし、二十三日は橋本さんと約束してしまったし。


『あっ、難しいんだったら良いよ』

『えっと、じゃあ二十五日はどうかな?そこなら良いよ』

『本当。じゃあ二十五日で。午前十時に工藤君のマンションのある駅でどうかな?』

『良いけど、俺がそっちに行くよ。そっちの駅に午前十時にしようか?』

『うん、じゃあそれで』


 ふふっ、工藤君とまた会える。この前プールであんな事になっちゃったけど、工藤君なら良いかも。優しいし、イケメンだし、背が高いし、頭いいしい。


 彼に見せちゃったんだから何とかこのまま行けないかな。あっ、そう言えば二十五日会ってからどうするのか話さなかったな。彼のマンションに行くって手もあるけど…。焦って無理して嫌われたら元も子もないな。


 でも他の子とどうなっているんだろう。私だけ遅れているなんて無いよね。どうしよう考えたら心配になって来た。


―――――


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、★★★★★頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


 


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