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おじさんからの電話 2  

 11月6日の夜10時すぎ、自宅に電話があった。

 電話の主は智子叔母さんだった。今回は叔父さんに言わせることなく、ラスボスが出たと思った。

 父の法事のことだろうか。まだ、日にちを決めていない。

「お墓の管理費の請求が来たけど、お母さんに請求していいのね」

 と、智子おばさん。

 以前母に半分払えって言ってきていると聞いたことがあった。美帆に払えと言わない、フジさんが死んだらこっちが払うから。と言ったから払うことにしたと。ケチだね、と言っていた。

「いいんじゃない、電話したら」と、言って電話を切った。

 しばらくして智子おばさんがまた電話してきた。

「あなたのお母さんはひどい。わたしを傷つけてきた」

 キレてる。どんな言葉を浴びせたのかわからないが、母はすぐブチ切れる。とりあえずあやまって、母に折り返しをした。

「浩一さんが名義を持っているんだから、浩一さんが払うのが筋でしょ。全額払えっといってきた。その上、わたしが死んだら美帆も払えって。おかしいじゃない。嫌だって言ったら、アナタは家をもらったじゃない、って。ローンを払い続けたのはわたしだ。その上、浩一さんが家を建てたときは、一部お金を払った。なんでまた、払い続けなきゃいけないんだよ」

 ぶちぎれている。このまま、智子おばさんと話しても、怒鳴り散らすのがおちだから、わたしが話すと言って電話を切った。

 叔父さんに電話をした。智子おばさんが電話に出た。

「全額払うって、どういうこと」

「和之さんが墓に入っているんだよ。お金を払うのは当然じゃない」

「じゃあ、名義を返してくれるってこと?」

「何言ってるの、あなたは坂東でしょ。名義をあなたにうつすのっておかしいでしょ。椛島家でもないあなたが」

「お母さんがいなくなったら、わたしが払い続けるの?」

「当たり前じゃない。アナタの両親が入っているのよ。払うのは当たり前でしょ」

「一生払い続けるわけ。わたしが死んだら子供たちが。そんなのムリだよ。わたしは坂東だよ、椛島じゃない」

「そこまではしないよ、美帆が死ぬまで。当たり前でしょ、親が入っているんだよ」

 おじいちゃんとおばあちゃんしか入っていないときに、お墓の管理費を一度も払ったことない息子、その嫁であるあなたが、それを言うのはおかしい。ずっと、お父さんが払っていた。

 それに、わたしの子どもが払わなくてもいいって言っていること自体も怪しい。話はコロコロ変わって、叔父さん夫婦、その息子たちはお金を払わなくてもいい、って条件にどんどん変化していく。

「でも、叔父さんと叔母さんも入るんだよね、そのあとの子どもたちもずっと。わたしは入らないんだよ」

「うちはまだ誰も入っていないんだよ。実際に入っているのはあなたのお父さんだよね」

「坂東家だから関係なんじゃなかったっけ」

「屁理屈いいなさんな。払いなさい」と、叔母。

 権利は欲しいけど、義務は有しない。妹と同レベルだ。すべて損得勘定で判断する。そりゃあ、妹と気が合うに違いない。

「それ、伯母ちゃんに相談するからね」

「おねえさんは関係ないじゃない」

「わたしは姪だよ。伯母さんに相談するのはおかしくないんじゃない」

「絶対連絡しないで。関係ないんだから」

「相談するよ。これはわたしの権利だよ」

「じゃあ、半分でいいから払いなさいよ」と、智子叔母。

 減額してきた。

 自分がおかしいこと言っている意識はあるのか。

「いいよ、それなら。振込するよ。いつでもいいから口座教えてよ」

 電話を切った。

「払うの?」

 夫が言った。

「まあね。お母さんが前浩一叔父さんと半額払うって約束してたからね。それは払うよ。でも、お母さんがいなくなったら払わないよ。わたしが払うことは承知してないから」

「お金を払うのが惜しくなったんだろうね。そういう人間は世の中には結構いるもんだよ」

 夫が言った。 

 母親に電話した。

「もう、あの墓には入らないよ。探す」

 母が言った。

「実際に家に住んでるのはあき子だからね。今度あなたが家もらったでしょって言われたら、もらったのはあき子だよって言って。あき子に請求してって。お母さんはお金もなく家と土地をとられて追い出されて、今は県営に住んでいるんだからね」

「そうだった」

「結局言いやすいところに請求しているんだよ。あき子には言ってないんでしょ」と、母。

 仲いいから。あの夫婦と、妹は。いつも仲良く話している。わたしにも輪に加われって。追いはぎと仲良くなれって?お金を提供しろと?

 絶対にイヤだ。

 次の日の早朝メールがきて振込先が送られてきた。速攻で送金した。


 後日、休みの日伯母に電話した。

「浩一と、智子さんから二日前に電話があったんだよ。美帆から電話がきてないかって。へえ。そういう事だったんだね」

 伯母は間違っているとも、正しいとも言わなかった。肉親である叔父の味方なのだ。もう、兄弟は浩一叔父さんしか生き残っていない。大事な弟なのだ。

「お金払ったって、どういうこと。アンタが払うお金じゃないのよ」

「早く払いたかったから、振込したけどお母さんに請求する」

「そう。安心したよ」と伯母。

「お墓の管理費の請求が来たら、またわたしに請求すると思うけどね」

 ため息が漏れた。

「あなたは坂東家なの。椛島家とは違うの。叔父や智子さんと話してはダメ。アナタはお母さんと話すべきなの。お母さんがあなたに相談したら二人で考えればいいの。直接交渉したら駄目よ、関係ないんだから。ほっときなさい」と、伯母。

「でも、智子叔母さんが傷ついたって言ってくるんだよ。お母さん、口が悪いから」

「なにが傷つくんだろうね、バカバカしい。そんな歳でもないでしょう。お互いケンカすればいいのよ。勝手にさせなさい」

「いいのかな」

「あなたは坂東家なんだから。首を突っ込むのも悪いのよ」

「わかった。ありがとう。でも、お母さんが死んだらわたしが払わなきゃいけないの」

「あの夫婦が入った後も、子どもたちがずっと入って墓は続いていくんだろ、あっちは。美帆はお母さんで終わりじゃない。アナタが払うなんて、おかしな話だね」

 よかった。

 伯母さんもおかしいって思ってくれてる。

「伯母さん大好き。これからも相談のってね」

「あらあら、こんなおばあちゃんでいいなら、いつでも相談にのるからね」 

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