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疲れました

 お母さんの住んでいる久留米の団地に帰った。

 永代供養はしなくていい、ってことは叔父伯母ともすんなり受け入れてくれた。位牌も預かるのも納得してくれたから、伯母さんには感謝しかない。

 伯母の家に行ったことは母には秘密だ。知られたらキレられるだけだ。

 母は自分が正しいと思っている。わたしの気持ちが分かるわけなんてない。

 母には永代供養がないことを伝えた。永代供養がなければ、祖父母だけでなく祖母の親の永代供養も必要はない。

「位牌を預けて普通の法事で終わり。いいよね」

 母はびっくりしていたが納得していた。

「そういうものかね」

「宗派によってやり方が違うんだよ。お母さんも普通の法事だと思ってくれていいんだよ」

「お金が高くないのは助かるね」

 年金生活の母。レントゲン技師の叔父とは収入が全く違う。家も取られ、何も残っていない母。もう、わたししか頼れる人間はいない。

「椛島家の仏壇だけど、お母さんが長生きして100歳くらい生きて、わたしが70代で久留米に帰るが大変だったらわたしはお母さんの祭事はしません。祖父母もお父さんもお母さんも全部終わりにする。わたしの息子にお父さんとお母さんの祭事はさせません。いいかな」

「いいよ」

 よかった。


 10月。あっという間に祖父母の法事だ。夫と二人、車で帰った。頼まれた黒タイツを持っていった。母の作った酢豚はおいしくなかったが、おいしいおいしいと食べた。

 夕食が終わりお茶を飲んでいるとき、母が言った。

「洋子さんから香典が来て。思ったよりたくさんお金が入っていたの」

「よかったじゃない」

 洋子さんは、おばあちゃんの息子の嫁だ。息子は四人いる中の三番目で神戸に住んでいた。次男だ。その叔父さんは、がんで60になる前に亡くなっている。

「香典を計算したのよ。そしたら、けっこうお金も集まるだろうと思うの。仏さんのお金で儲かるわけにはいかないから、今回は二人の法事のほかに、おばあちゃんの弟を拝んでもらおうと思うのよ」

 まてまてまて。どういうこと。

 おばあちゃんは2人兄弟だった。弟がいた。弟は当時大学生で戦争の混乱の中、亡くなっているらしい。祖母は弟の名前を過去帳の中に入れてくれと、つねづね言っていた。それで、過去帳に書き入れてもらっていた。その人をお参りしてもらおうというのだ。

「もう、住職にはお願いしてるんだよ。急にそんなことを言われても困るよ」

「ついでだよ。いつもよりお金を多めに出すんだから、いいんじゃないか」

「そういう問題じゃないでしょ」

「お前には関係ないことだよ」

 サイアク。伯母さんたちが知ったらどうなるだろうか。

 もめる。怒号、紛糾。法事は思いつきでするもんじゃないのに。

 母が風呂に入っている間に夫に相談した。

「しょうがない。なるようになるんじゃない。俺たちは知らなかった、で行くしかないよ。実際知らなかったんだから」

 まじで、どうしようもない母親だけど、夫にも腹が立つ。でも、母のすることを今まで反対して、良い風に転んだことはない。怒鳴られて、お前はバカだって罵られて、で結局母の思ったとおりに突き進められるだけだ。

「わたしが事前準備してどんな目に合っているのか、全然わかってない」

「知らないんだから仕方ないよ。紛糾したらしたまでだ」

 夫は布団を居間に敷いている。やっぱり他人事。

「わたしは仏間で寝るから。もういい」

 自分用の寝る用布団を掴んだ。わたしはそれを抱えて、お父さんのいる仏壇部屋に移動した。

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