どうしたらいい?
「どうしたらいい?」
となりにいた夫に聞いてみる。
「まあ、いろんな考え方があるからね」と夫。
「叔父さんの意見通りにしたらいいんだよ。そうしないと、もめるんだから」
わたしは言った。
「お義母さんの言ってることはわかるよ。それが正しいとも思うし。でも、供養したくない理由が過去にあったかもしれない」
「正しいとか、正しくないとかどうでもいいんだよ。わたしは怒られるのが嫌なの。長いものに巻かれて生きてきたんだから」
「その考えは間違っているよ。怒られるのが嫌で行動するなんておかしいだろ」
またお説教?そういうのはいらない。
「どうせ、わたしがするんだよ。準備も手配も何もかも。怒られるのもわたしなんだよ。みんな文句はわたしに言ってくる。おかあさんが人の意見を聞くことなんかしないよ。絶対揉める。また法事は修羅場になる。叔父さんの気持ちは分かった。でも、伯母さんがどう思っているかが分からないよね。この間、伯母さんと意見がいっしょじゃなかったし」
「一回九州に帰ったら。この問題は電話では難しいんじゃない?」
「そうだね」
今はまだ七月。法事は十月だ。
「とりあえず、今はお盆のシーズンで忙しいから栄明寺に電話するのは、九月にする。電話で相談してから、久留米に一度帰って伯母さんにどうしたいか聞いてみる」
伯母さんが納得するのが第一条件。彼女が言えば、すべてが決まる。伯母さんはスジが一本通っている。彼女が長女で、姉御肌でよかった。
「よかったじゃない、日にちが先で。調整する余裕があるし」
夫が言った。そうだろうか。
相手は年寄りだ。九月に調整したところで十月には忘れるかもしれない。もしかしたらわたしと話したこと自体忘れたりして。
九月まで待てなかった。八月下旬、電話した。
以前予約した祖父母の三十三回忌と五十回忌。そして永代供養。母はそれに加えて曽祖父母の永代供養を望んでいる。しかし親戚は曾祖父母の永代供養を望んでいない。それについて変更するかもしれないから、親戚と話し合って決める趣旨のことを伝えた。
「そもそも、浄土真宗は永代供養がないんです」
電話口の女性が言った。多分住職の奥さんだ。住職は不在だった。やっぱり忙しい。
「永代経という名称です。それは、浄土真宗がずっと未来永劫続いていきますようにと、お願いするお経なのです。個人を祭るものではありません。法事の最後にされる、という方や身寄りがない方が葬式の後にされる場合もありますし、されないで終わる方もいらっしゃいます。それは人それぞれの考え方なので、こちらから勧めることもありません。それぞれの考え方でいいんですよ」
「最後にしなければならない、という事ではないんですか」
「違います。それぞれの考えでいいのです」
突破口が見えた。
「ありがとうございます」
電話を切った。
よっしゃー!みんなをまとめる武器を手に入れた。




