ゾンビと共存する新しい世界 - with Z
約700文字ですぐ読める超ショートショートな新型コロナウイルスのブラックコメディ的お話です。これ系のお話に忌避感・拒絶感がある方はブラバ推奨ですm(__)m
始まりはC国だった。ゾンビが都市にあふれ、ひとつの都市がまるごと閉鎖された。原因はC型ゾンビウイルスがバイオ研究所から漏れたというウワサだ。真偽は分からない。
C型ゾンビウイルスのキャリアは一見して分からない事が多い。普通に思えた人が、突然ゾンビ化して噛み付く事件が多発した。
重症化しない場合には普通の健康な人と変わらずに生活も可能だ。ただ、突発的にゾンビ化して噛み付くのだ。噛み付かれた側は一定の確率でゾンビ化し、ひどい時には死亡に至ることもある。高齢の場合は死亡する確率は非常に高い。
重症ゾンビ患者は1人ずつ隔離される。しばらく放置して自然治癒を待つしかないのだ。海外ではひとつの部屋にまとめて放置している国もあるという。恐ろしい事態になっている。
この国のC型ゾンビワクチンが足りていない。ゾンビワクチンの開発に成功したA国とB国の製薬会社は自国を優先しているらしい。自国を優先するのはあたりまえだ。そんな中、この国の指導部が集団免疫を獲得する方向へ舵を切ったという発表がトップニュースで流れている。国民総軽ゾンビ化作戦――いわゆるノーガード戦法である。
「ねえ。世界中、みんなゾンビになっちゃうの?」
「マスクをつけてキャリアに長時間接していなければ、3密を避ければ大丈夫だよ」
「今度の変異株キャリアは、すれ違っただけで噛み付いてきて、すぐにゾンビ化されちゃうらしいじゃない」
「そのウワサ聞いた」
実は私もつい先ほど、帰宅中に通りすがりの若いOLが突然ゾンビ化してきて噛みつかれた。だが、そのことを家族に打ち明けられないでいた。大丈夫、きっと大丈夫。発症率はそこまで高くないはず──
「ねえ、お父さん。どうしたのさっきからはぁはぁして」
ああ。娘の白い首筋がどうしヨウモナクウマソウ。
~THE END~
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