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diavolo-diavolo-bodyblow6

 ソテー氏こと紳士無食子(ドングリ)は青い羽帽子(ノーブルハット)外套(マント)、そして襟や袖にフリルをふんだんにあしらったお洋服を着て現れた。

 フリルがそれぞれ独立していて、その分、負けて弾けても安心というわけだ。

 装備の点数を増やすことはこの神明裁判、叩いて被ってじゃんけんぽん、ではむしろ戦うものの心構えとして奨励されている。決闘で着込みや寸鉄を身につける様なものだ。


「おや、そのマントと帽子、」


「ピギィ。ええ、若い頃、バライロ氏が正気に戻った後は、2人で悪を討っていたのです。自分だけが老い、最近は裏方に回っていたのですが」


 へぇ。いいね。似合ってんじゃねぇか。


「ピギィ。お褒めに預かり恐悦至極」


 対するおねーさんは、げぇ、訓練所おねーさん!

 しかも、見た目は相変わらず。蓬髪には何も装飾はなく、サラシとフンドシだけのグラディエータースタイルである。

 完全な舐めプ、とは言うまい。限りなく公平にした結果こうなったのだろう。それくらい訓練所おねは強い。


 ドチッドチッ、と効果音が聞こえてきそうな歩き方で闘技場の土俵(リング)に上がるおねーさん。


「人の子よ。叩かれても砕けぬ祈りで、被っても振り払う意志で以て、この運否天賦(じゃんけんぽん)を受け入れろ」


 いつものゆったりしたしゃべり方ではなく、厳格な顔付きで宣う訓練所おねーさん。空気がヒリつく。

 オッズを見てみれば訓練所おねが圧倒的であった。今までの2戦ははそこそこ拮抗していたのだが。

 これまでの単純な戦いから運の要素が強いじゃんけんぽんに変わったのにこの圧倒的な差。人が増え7割が埋まりつつある、今この場に居る少年少女は皆、訓練所おねに1度は叩きのめされているだろうから、その信頼、トラウマもあるのだろう。俺だって何も知らなかったらおねーさんの方に賭けちゃうぜ。

 しかし、ソテー氏の眼差し。まあ、相変わらず円らな瞳なので表情そんなわからんけどその眼差しを見て、俺は彼に全賭けした。ありったけのお小遣い全て突っ込んでやったぜ。成り行きで魔王になったくせに責任感が強いのかね?でもあの目を見ちまったら、俺も漢を見せなきゃな。




 ソテー氏は皮鞣し用の木槌を、訓練所おねーさんは工兵が使うような大槌を持って相対した。


「「叩いて被ってじゃん、けん、ぽん!」」


 パァーン!


 おねーさんがじゃんけんぽんで勝ち、そしてそのまま無拍子で大槌を振るう。いったい、この場で何人の少年少女がその早業を見ることが出来ただろう。

 じゃんけんぽんで勝った時点で、あとはぽんっと槌を当てるだけで善いのにまっっっったく手加減しないこの恐怖。おねーさんトラウマが甦るぜ。


 ソテー氏の弾けた服は…どこだ?あ!飾緒か!?いや、どんだけ細かく服を分けたんだよ。神様サラシとフンドシしか着けてないんだぞ。


「ピギィ。本気で勝ちに行きますよ。神様」


「その意気やよし!しかしてそのまま地に沈めぇい!!」


「「叩いて被ってじゃん、けん、ぽん!」」


 パァーン!


 片方の靴下が弾け、その下からタイツが覗いている。着込んでやがる。流れる一筋の汗は、極度の緊張と集中によるものではなく、単純に暑いからだろうな。


「怯懦が透けて見えるぞ?そのファッションの内側から。服飾の魔王とやら?」


「この怯えも、大切な感情です。全てを呑み込み、自分は祈りを貫き通す!」


 何か楽しそうだな。いつか癖歪み忍者あたりとヤろ。無駄に神明を求めたら怒られるかね?

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