Teardrops Ire Covetousness Kindness TICK!2
「お前の時のゴブ等、忖度してないカ?」
「そうかな?そうなのかいみんなー?」
「「「「「難しいことちょっとわかんないゴブー」」」」」
武器屋おねーさんと強欲の魔王マモン、お互いに一回ずつゴブ等叩きに挑戦しているのだが、露骨に不正してきたコイツら。
ゴブ等叩きは7つある穴からランダムに現れる蕗冬等をペチペチ叩く競技である。
この7穴は人の顔を模した土台に掘られているためゴブ等が出てくる位置も立体的で、叩く者に高度な反応と体捌き、そして特殊な技術を要求する。
顔土台における位置取りを意識し、バランス良く全体を狙える鼻先に立つ一本足打法。振りかぶる動作の省略のため常に高速回転して白鳥打法。等々、まだまだ研究が続いている熱い競技なのだ。
しかし、武器屋おねーさんが叩くときは常に遠くまたは姿勢的に打ちづらい穴から顔を出し、マモンが叩くときは、ゴブ等にハンマーをぶつけるのではなく、ハンマーがある位置にゴブ等が向かっていってる感じだ。
相変わらず汚い野郎だ。今はむちむちぱつんぱつんおねーさんに姿を変えたから赦す。ナニヤっても許されるからなおねーさんという生き物は。
「いやー、まいったなぁ。このまま私が2勝先取してストレート勝ちしちゃうかな?」
綿製のモコモコハンマーを器用にクルクル回して勝ち誇るサー・マモン。見た目的にはママンか。
「ハッ。確かに私ハ、あの怠惰女に与し易しと見なされタ。お仲間連中の間でモ強い方じゃじゃねェ。一対多の戦いでは、せいぜい8人までが限度ダ。でもな、それでモ私は、厄介ではアルんだゼエ?」
バックレスのセクシーな神官服からにょきりと4本分腕が増え、合計六臂となる武器屋おねーさん。それぞれに木槌金槌棍棒金棒ヌンチャクトンファーを持っている。
「何しろ私ときたラ、とれる手段がいっぱいあるんダ。最強ならぬ最器用。なんつってナァ!顔中の穴から血反吐流して死ねぇェェェイ」
「「「「「………………」」」」」
ゴブ等、怖がって出てこない。当たり前だ。ヘルメットしてても死ぬかもしれないだろあれは。この競技はモコモコハンマー以外NGなので武器屋おねーさんの反則負けである。
「ダ、B-T。悪イ」
ヌヌヌッ。お世話になってる頼もしいおねーさんの弱った姿。これだけでお釣りが来てしまう!
ちなみに、不正かと思っていたサー・ママン。超絶プレイング上手かっただけだった。まるでハンマーが降る場所にゴブ等が現れる様な、反応速度と先読みによる神業。勉強になったぜ!