Be-Tried! blue-bad-beauty-boy
ざまぁみろ!顔面蒼白-美-少年
「兄さん、ぼくです。ぼくですよ」
ぼくぼく詐欺かと思ったが、ひどく懐かしい顔だった。それだって面影が残るくらいですっかり変わり果てていたので詐欺みたいなものだが。
まだまだ陣取り合戦中だが、王権を移してもう2年。そろそろ街に来るころだとは思っていたが。
「父があなたにしていたようなことを、あなたからぼくにして貰うことが愛だと感じていた。勘違い、していた。今は、違う。あなたに母性を求めているがために、あの凶悪だったあなだがとても穏やかな目をしている。あなたはサキュバスだから。相手の願望によってそのありかたをいくらでもかえるから」
「急に現れて独り言をぶつぶつと。過去のおとこってやつだね。見苦しい。残念です過去形の人。もうB兄ちゃんは僕のものだ」
「ふふ、いいや。いいや違うよ新しい王様。ぼくたちの運命の女神は、死と闇の女王の申し子は、よりつよく望むものに腰を振るんだよ。淫らなその母と同じようにね」
いや、お前らが振りなさい。楽しませないこっちを。
「ひゃっはー!良いこと聞いた!2人して意識がよそむいてるあいだに拙者がゲットー!このまま辺境に向かいましょう貴殿!誰もいない場所なら拙者の望むままに貴殿が振る舞ってくれるということぉ。人類を我らの子でうめつくすでゴザルー!アバッ」
何か勝手に興奮して勝手に倒れた癖歪み忍者こと、ライ麦畑。
この2年、若返らせない様に上手くレベルドレインしてみたのだが、尻がますます円熟していくくらいで見た目が一般の悪実男みたいになることは無かった。ずっと他の人類の少女みたいな見た目のままである。もう少し尻ペタが熟女みを増してから固定しようと思う。もちもち。
「新しい王様、ぼくは兄さんを奪いにきたわけじゃないよ」
へえ、善い顔、いや、悪い顔で笑う様になったじゃん。
「尋常の手段じゃ兄さんに勝てっこないからね。メリットを、用意しないと。勝っても負けても問題無いような。つまり、新しい王様、賞品は兄さんじゃないのさ」
え、俺の奪い愛が始まるんでないの?何やかんやあって全部俺が総取りしてハッピーエンドな感じの。
「ふふ、その通りですよ。兄さんが総取り。だって賞品は、神様の化身たる初心者の街の女神官様がたと、悪魔の化身たる9人の魔王。どちらかの陣営の負けた方が、兄さんの持ち物になるのです」
ボウガンを放つ新しい王様、邪聖少年ことビューティー。どんくさいあいつじゃ避けることも防ぐことも出来んだろうと思ったら、護衛が地面からにょっきり湧き出てきた。その短い角で矢を弾く。
「いや、ショタコーンどもじゃねぇか!なに寝返ってんだよ!!」
「ぶるる。寝返ってません。最後のご奉公ってこの前言ったでしょ」
「そう。我ら、神にも悪魔にも例えられる象徴なれば」
「その象徴の残骸なれば、当然、悪魔側にもつくのです」
「「「あとおパンティくれるし」」」
だよな。安心したわ理由がそれで。
「神様はもう使えないから、こっちで、よろしくやることにしたんです。悪魔と契約したんですよぼく。兄さんがどうしても欲しくて」
「ブルー、」
「いいえ、兄さん。僕も名前を捨てたんです。もう領主になるし、幼名は棄てて、自分で名前を付けたんです」
草臥れた笑顔だ。まだ少年なのに。年上に見えるぜ。
「ディアブロ。少しでも、名前だけでも兄さんに近づけたらと思って、そう名付けました」
それでどうしますか。勝っても負けてもレア物をドレインしほうだいですよ。と、ディアブロ。
うーん。明確な上司への反逆となるが、しかし、街のおねーさん方がちっともお相手してれないのがそもそも問題なんじゃないかな。お相手してくれてたらこんな悩むはずないんだから。さっさとこいつを制圧してわからせて、そしてから魔王をいただいちゃえば善いんだから。
ここはストライキの意味を込めて承諾すべきなんじゃないかな。勝てば善いんだろ勝てば。
「あ、でもその前に」
なんだ草臥れ過去形。
「最悪なあだ名ありがとう。これ、母と、姉2人からの差し入れです。刺繍と詩集とシチュー。韻、踏んでみました」
お、おう。急に家族感だされて戸惑う。こいつ、エリーゼ並みに厄介に育ちやがったな。心得てやがる。
「仕事も言い終わったし、私事に移るね。久しぶり、兄さん。この2年、いっぱい頑張ったんだ。昔みたいにお話しを聞いて欲しいんだ」
お、おう。そう言われると断れねぇな。どうするかな?勝手に賞品候補にした受付おねーさん宅でシチュー温めてもらうか。食べながら聞こうか。
「うん」
「ビューティーどの。もしかして、ぽっと出の幼馴染みに全部持ってかれてるでゴザル?」
「うん、そうだよライ麦畑。僕たち蚊帳の外だよ」