第1話 獣人族との出会い
魔王城編
第1話 獣人族との出会い
「さて、蘇れたしとりあえず魔王城を建てる場所でも探すか!」
笑みを浮かべながら嬉しそうに語る。
広い草原で綺麗な緑色をした木のところに城を建てるとか風景を壊すと思うが··········
「まずは城の材料を探せばな」
ルベリアは辺りを見渡す。でもこんな所に城の材料になるものは何一つない。なにせ木なのだから。木を使ってしまっては炎魔法で終わりではないか。
「やはりここら辺には何も無いか。」
ルベリアは魔眼を凝らして遠くの場所も見つめ始める。
「少し遠出にはなるが、行ってみる価値はあるか!」
ルベリアはなにか見つけたと喜びを隠せなかった。
【飛行】の魔法で空へ飛ぶ。
先程見つけた場所へ飛び立つ。
さすが魔王と言うべきか。ありえない速度で空を飛ぶ。
「結構飛ばして飛行してるが、蘇ったばっかだし魔力も全然ないからなぁ。速度を落として魔力の消費を抑えるか」
半分くらい速度を落として飛行を再開する。
数十分後……
弱々しい魔力を帯びた鉱石が一帯に広がっているところに到着した。
そうルベリアはこの微弱な魔力を魔眼で探し当てたのだ。
一帯は黒く、少し山が削られているのが分かった。
「少し削られているな」
「1人で全部使おうとしてたのにな」
落ち込んだようにため息をついた。
その途端少し強めの魔力の流れが目に入った。
「ん?」
ルベリアは目を細めてそこを見つめる。
その洞窟の中からなんと動物の耳をした獣人族の娘がいた。
ボサボサした髪にボロボロの服。まるで奴隷にされて酷い扱いをされていたように思える。
ルベリアは自分に害がないと思い下へ降りる。
「そこの獣人族よ。お前はなぜこんな場所におるんだ?」
獣人族の娘が怖いのか目を見開く。
「あ……」
獣人族の娘がなにか話したそうにしている。
「あ……」
なかなか声が出ない。まだ怖がっている様子だ。
「俺はお前になんかしようと思っていない」
獣人族の娘が本当?と信じてもいいかな…と小さな声で言う。
「ほんとにお兄さんは何もしない?」
とルベリアにきこえる声で喋ってくれた。
「何もしないさ」
「この命に変えても何もしないと約束しよう」
獣人族の娘が少し顔を緩めてほっとしたようにため息をつく。
「聞かせてくれないか。なんでここにいたのか」
獣人族の娘に問いかける。
すると…
「ここで魔力を帯びた鉱石を探せと言われた……」
「ん?ここ一帯が魔力を帯びているのだがな」
獣人族の娘が驚いた顔をしてこちらを見つめる。
「え……でもご主人様は何も言ってなかった」
「ご主人様?」
やはりこの娘は奴隷にされていたそうだ。
ルベリアはそのご主人様とやらのことを知りたいと思い娘に疑問を問う。
「そのご主人様とやらは今どこにいる?」
娘が少し考える。でも考えがまとまらなかったか。言葉に出来なかった。
「まあ場所が分からないならしょうがないか」
「なら名をしてっているか?」
とルベリアは問う。
娘がなにか言いたそうにしている。
「言うなといわれておるのか?」
ルベリアは優しい言葉で返す。
娘がこくりと頷いた。
じゃあそいつはなにか事情でもあるのかとルベリアは考えた。いやもしかしたら貴族かもしれぬな。貴族が奴隷を飼うなどあってはならない事だからな。だから言わせないだけかもしれないな。
「お前の名を聞いておらんかったな」
「キリス……」
「ほう。キリスか!なかなかいい名ではないか!」
「キリスはこれからどうしたい?」
キリスがもじもじしながら小さめな声で言う。
「私はもうこんな生活いやだ……もし良ければ連れていってください…」
「よかろう!俺も最近ここら辺に来たばっかでな!ちょうど1人だし寂しかった所なんだよ!」
ルベリアは嬉しそうに手を差し伸べる。
その手をキリスはちいさな手で握った。
「では少しここで俺は作業をする。キリスはそこら辺で休んでるが良いぞ!」
キリスは頷いた。