女学院(あのウサギ学園長、いつか処そう)
処そう、とは執行しよう、ということらしいです。
次
転移先は留学生、と書かれているだけあり、学校内。
というか、体育館内で今まさに留学生の紹介が始まって、それで留学生がいない、という事件が発生しているところだった。
そんな中、校長らしい人の目の前に転移。まるで気を読んでいたかのような転移。
「やっと着た。さ、壇に上がれ。自己紹介しろ。この場の全員に、だ」
やけに落ち着いていて、それでいて明確な怒りがどこかへ向かっている。
多分あのウサギに向かっているのだろう。送ってくるのを遅らせ、自分勝手なタイミング、ではなく、もはやちょうど良すぎるようなタイミングで送りつけてくる。まるで挑発をしているかのような態度。そりゃあ怒るだろう。
壇上に上がった執行が見たのは……。
あたり一面を、体育館全体を埋め尽くす、女学生であった。
パッと見で男子生徒は0名。よーく見ても0名。正確には疾風で一名。
詰まるところ……。
ここは異端との最前線側でありながら、唯一の女学院である、白百合女学院であった………。
§
フラッとめまいに襲われたが、もう後戻りは出来ない。
こうなれば当たって砕けろ。玉砕覚悟で自己紹介だ。どうせ目の前のお嬢様どもも男子学生くらいは見たことがあるだろう。異端狩りが女性だけなんて思ってる奴はいないはずだ。
「えっと……、執行疾風って言います」
執行はモデルケース1号。うまく立ち回らなければ何をされるかわからない。
できる限り、執行部部長や摩訶不思議長ではなく、小学生時代の、超優等生でいなければならない。
「現在二年生の執行部部長です」
どの学院・学園にも執行部はある。
あった、という学院や学園もあるが、基本的にはある。教師が担当している場合もあれば、立枝校のように生徒主催の場合もある。ちなみに立枝校は今までなかった、に入る唯一の学園だ。
「専門は特攻です。他に支援も得意としています。よろしくお願いします」
反応は手応えなし、といったところ。芳しくない結果だ。
このままでは不味い。何かいうことはないのかと先ほどの学長の方を見るが、肩を竦めて明後日の方を見るだけ。あてにならない。つまり、このままどうにかしなければならないのだ。
が、ここでその学長がいい働きをしてくれた。
デメリットは大きいが……。
「よし、ここは一つ、ゲームといこうじゃないか! 今からこの留学生と模擬戦をする! 参加したい者は自由に壇上へ上がれ! 人数制限はなし! 買った奴は成績を少し上げてやる!」
乗り気の人がほぼ大半。
ある程度数えてみたが、多分四百人は相手にすることになるだろう。
そして、地獄ともいえる執行の記憶内で最悪のシャトルラン模擬戦が始まる。
相変わらず真の作者は何をしているのやら……(六道さんのこと。生息地はネットで、自宅警備員見習いだそうです)
次回は一旦現在に戻ります。