プロローグ
人間は歴史上その大小を問わず争いを好んできた。
その目的は数知れず、失われてきた命の数はもはや数字で
すら現実味を帯びることはない
“戦争屋”
近代に入り戦争はその姿を変えた。人間と人間が直接戦っていたのはもはや過去の話であり当事者以外の兵士、すなわち傭兵と呼ばれる戦争屋が代理戦争を行うようになった。
そして今となっては、コンピュータを介したゲームのような感覚で無機物同士が争いをするようになった。
「大尉、いつになったら戦うのをやめるのかね」
彼の上官にあたるが制服を脱げばもはや軍人とはわからないであろうほど太った男に聞かれた
「少佐、死ぬまで戦うのが戦争屋ってものですよ」
時代が変わるごとに変わった戦争の形を肌で感じてきた彼にとって引退とは即ち死を意味していた
一昔前の軍服に袖を通し装備を確認する彼は4回目の大戦の最前線へと赴く
周りがそうしたのではなく自ら志願して
「老いで死ぬくらいなら銃弾を浴びて死んだ方が本望だね」
科学技術の進歩によってもはや銃弾という単語すら古いものとなってしまった
しかしこれはそんなことは気にすることもない、ただただ雇い主のために引き金を引き、報酬を得るだけだと